名古屋市では自転車保険の加入が「義務」へ(depositphotos.com)
問題です。「警視庁の集計によれば、2014年の自転車乗用中の死者数540人のうち、63.9%を( )歳以上が占めていた」。さて空欄に入るのは何歳だと思われるだろうか?
正解は(65)歳以上。「自転車死亡事故の100人中ほぼ64人が65歳以上」という実例を知れば、名古屋市が今年(2017年)4月から「高齢者のヘルメット着用」等を「努力義務」に盛り込んだ条例を施行した理由も大いに納得できるというもの。
その名古屋市の場合、来たる10月1日からは「自転車保険への加入」も義務付けられるが、これは改正道路交通法施行(2015年6月)以降、全国的に加速している自治体の趨勢に沿ったものといえるだろう。
では、居住地域における「メット着用」や「保険の加入義務」という条例の有無にかかわらず、日頃の自転車利用者たちの「安全意識」というものは一体どのようなレベルにあるのだろうか?
今年に入ってから実施された複数の保険会社の調査結果から、その実態を俯瞰してみると、「唖然」という想いを禁じ得ない。
「保険自体を知らない」が2割強!
まずは3月にKDDIとau損害保険が共同で実施した、その名もずばり「自転車保険に関する意識調査」というウェブ上の回答結果が、意外や意外、「子どもを持つ親世代の意識の低さ」を浮き彫りにしている。
回答は、日頃から「週1回以上」自転車に乗る人々1000人から寄せられたものだ。
最初に自転車保険そのものについて問うと、「保障内容まで知っている(25.7%)」+「名前を聞いたことがある(52.7%)」が8割は切るものの、大方の利用者が「存在」を認識してはいた。
問題は残りの2割強。つまりは自転車保険の「(存在自体を)知らない」層の内訳で、その約4分の1が「(血気盛んな)中学生の子どもを持つ親」に該当したという。
2015年に起きた通学時の自転車事故を解析した結果、最も事故が集中するのは5〜6月の時期、とりわけ高校1年生の事例が突出していた(「自転車の安全利用促進委員会」調べ)。
しかし、その一歩手前の事故予備軍をかかえる親が、先のような低意識では……。事実、au損保の実例でも「18歳以下の自転車事故」の受付件数は年間で6月が最多、その件数は入学・進学期の4月比で2倍を超えている。
先の質問=回答で「保障内容まで知っている」とした層の「68.5%」が保険に加入していればまだいい。しかし実態は、1000人の回答者全体で集計した場合は17.6%(つまり、わずか176人)に留まった。
この実態は、やはり自治体側の「安全の喚起・向上」とはかなり食い違った意識レベルといわざるをえないだろう。