日本の医療大麻の解禁はいつ?
日本では、医療用であっても、輸入も研究も許可されない大麻。しかし過去には、がん性疼痛などの緩和のための研究として、カンナビノイドの研究がされている。
2011年に厚生労働科学研究費補助金の下で、国立がん研究センターが中心となって、カンナビノイドの一種であるドロナビノールの研究がなされたのだ。
この研究は「ドロナビノール等の新規治療薬についても、疼痛下での安全性が基礎的に明らかになり、今後の第Ⅰ相試験に当たって極めて重要な成果であると考えられる」と結論付けられている。
NPO法人医療大麻を考える会によれば、研究成果そのものは、海外では常識的な範囲であり、目新しいものではなかったが、国立機関が国内でタブー視されている大麻を扱ったことの意義は大きいという。
近年では、末期がんの身体でありながら、命懸けで医療大麻の必要性を求めた「山本医療大麻裁判」の故・山本正光さん(2016年7月15日死去)の訴えが印象的だ。
肝臓がんで余命宣告を受け、医者に見放された病身で大麻を栽培・服用したところ、痛みが和らぎ、食欲が戻り、抑うつ気分も上昇し、さらに腫瘍マーカーの数値が軽減したという。
山本正光さんは、余命宣告期間を過ぎた頃、大麻取締法違反で逮捕・起訴された。「厚労相も法務省も医療大麻の認可に取り合ってくれない中、生存権の行使として使用した」と亡くなるまでの半年間、裁判で争った。
最近は、大麻はニコチンやアルコールよりも身体依存が低いという認識が一般的になりつつあるが、精神依存については異論もある。また、有益性だけでなく有害性、とくに低年齢層の健康に関するリスクについての指摘は見逃せない。
さまざまな意味で大麻を受け入れる素地のない日本では、アメリカやカナダのような<合法化で全面解禁!>は夢の話だが、せめて医療分野の特定的な使用が認められれば、カンナビノイドの恩恵に与れる患者が救われるだろう。
ただし、カンナビノイドの一種、カンナビジオール(CBDオイル)は、国内でも合法で入手できるので、医療効果を期待されつつある。医療大麻解禁の風穴を開ける一助になるかどうか、注目したいところだ。
(文=編集部)