人生を楽しむ人ほど<長生き>は本当だった! <幸せ>の総量が健康に関係する

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「人生が楽しい」と死亡率は24%も下がる

 2006年から6年間の追跡期間中に1310名が死亡。解析を行った結果、人生が楽しいと報告した回数が多いほど死亡率が低下していた。

 たとえば「人生を楽しんでいる」と報告したことが0回だったグループと比べると、2回あったグループでは17%、3回あったグループでは24%、死亡率が低かったという。

 研究チームは、この関係性は逆転の因果関係によってバイアスがかかっている可能性を考えた。つまり重い病気にかかっていれば人生は楽しくなく、死亡率も高まるだろうということだ。そこで最後の調査から2年以内の死亡を除外。それでも結果は変わらなかったという。

 この幸福感が持続すると死亡率が低くなるメカニズムについて、論文では免疫反応と関係で推論している。

 ストレス反応で分泌が増加するホルモン「コルチゾール」は、免疫反応の初期に必要な物質の合成や分泌を抑えてしまい、正常な免疫反応を妨げることが知られている。つまりストレスになる要因がない、またはあってもストレスと感じない人は免疫反応が強く、病気になりにくい。

 また「幸せ気分」が早寝早起きや運動、バランスの良い食事、さらには積極的に健診や治療を行うなど、生活習慣において正しい選択をする「心の余裕」を生み出すからではないかとも付け加えている。

<幸せ>の総量が肉体的健康に関係する?

 ただし、今回の結果は「観察研究」によるものであり、人生の喜びの数と死亡率に相関関係があったことを示しているだけで、「因果関係」までを明らかにしたものではない。

 さらには「人生を楽しんでいる」の定義が聞き取り調査によるものであり、本当に実感している「楽しさ」と一致するかは疑問の余地がある。そのため「長生きするには日々の生活を楽しくするべき」と言い切る根拠にはならない。

 それでも研究チームは「幸福感が続くことと死亡リスクの低下との用量的な関連を明らかにすることで、人々の主観的な幸福感が、身体的な健康に与える意義の理解に新たな次元をもたらすものだ」と主張している。

 幸福感とは結局、主観的なものでしかない。社会的地位や置かれた境遇に関わりなく「自分自身の」幸せや楽しさを感じられる人が、人生の勝ち組ということなのだろう。

 しかし中年になって急に人生が楽しくなる人もなかなかいるまい。今回の研究が示唆するポイントは「持続」。ということで、若いうちから自分の好きなことを楽しむポジティブな生き方が、老後の人生の楽しさを決めるのではないだろうか。
(文=編集部)

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