美白に効く「コウジ酸」も豊富に含む
ところで、甘酒には、日本酒を作る過程でできる「酒粕」から作るものと「米麹」で作るものの2種類あることはご存じだろうか?
現在、巷でブームになっているのは、米麹から作られた甘酒だ。アルコール成分を含まないので、下戸の人や子どもも飲める。また、麹由来の自然の甘さがあるので砂糖を加える必要がなく、カロリーを控えめにできる。手作りもできるが、発酵させるため手間と時間がかかる。市販品も割高だ。
それに対して酒粕由来の甘酒の特徴は、小量のアルコール成分を含むこと。お酒に弱い人や、運転をする人は注意が必要だ。また、通常は飲みやすくするために砂糖を加えるので高カロリーになりやすい。半面、酒粕を水に溶かすだけなので家庭でも簡単に作れるし、市販されている商品も安めだ。
栄養価を比較すると、酒粕の方は肌の元になるタンパク質や、整腸作用のある食物繊維が多い。一方、米麹の甘酒には麹菌の持つ酵素が多数含まれている。
一方で肌のターンオーバーを活性化するビタミンB群や、美白に効くコウジ酸はどちらも豊富に含まれるので、どちらを飲んでも美容効果は期待できる。味の好みや熱量、飲み続けやすさで選べばいいだろう。
砂糖の代わりの調味料として
ところで、甘酒は、1日にどのくらい飲むのが適量なのだろうか?
カロリーは、米麹由来のもので100ml当たり81kcal。グラス1杯(200ml)で、およそ160kcalとなる。ココアよりは低いが、加糖清涼飲料水より高い。酒粕で作るときは砂糖を加えるのでさらに熱量が上がる。実は「飲み物」として考えるとハイカロリーの部類になる。
3食きちんと食べて、なおかつ甘酒を飲みたい人は、1日にグラス1杯程度を限度にとどめておいたほうがいいだろう。
ただし、ダイエット中の人や糖尿病患者は注意が必要だ。「食品成分表2015」によると、甘酒の100g当たりの糖質は日本酒よりもはるかに多く約18g。米のデンプンを麹が分解してできた甘酒は、ブドウ糖を多く含むため血糖値の上昇を引き起こす。
反面、お米のまま食べるよりも糖が急速に吸収されるから、風邪を引いたときや体力を消耗しているときには最適かもしれない。栄養価も高くて疲労回復にも効果的だ。この甘酒の利点を日常的に取り入れたければ、砂糖の代わりの調味料として使うのも手だ。
発酵食品である甘酒は、味噌やしょう油、酢などとも相性がいい。自然な甘みと豊富に含まれるアミノ酸が、味を引き立てる。食卓に<飲む美容液>をうまく取り入れてみてはどうだろう。
(文=編集部)