風邪に「抗菌薬」は効かない! しかし約45%の医師が処方せざるをえない現状はなぜか?

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風邪に「抗菌薬」は効かない!(shutterstock.com)

 天地開闢(かいびゃく)の神代から「恋の病に薬なし」「馬鹿に付ける薬なし」だったのだろう。恋煩いは手の施しようがないし、馬鹿はお手上げだからだ。

 ところが、世間は「病み女に風邪引き男」とシャレて粋狂を愉しんだりする。患い女の目は、うるんで色っぽい。風邪引き男の喉に巻いた白いガーゼは、粋に見える。うーん、そんな苦し紛れの見立てはどうだろう?

 しかし、改めて考え直せば、分かっているようでよく分かっていないのが「風邪」の正体。風邪って、そもそも何だろう?

風邪の主原因はウイルス! 抗菌薬は風邪に効かない!

 米国国立医学図書館『PubMedHealth - Common colds: Overview』、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、米国国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID)などのデータによると、風邪(common cold)は、ライノウイルスやコロナウイルスなどのウイルス感染によって発症する急性上気道炎(普通感冒)だ。風邪症候群と呼ぶこともある。

 主な症状は、咳、咽頭痛、鼻汁、鼻づまり、くしゃみなどの局部症状(カタル症状)のほか、発熱、倦怠感、頭痛などの全身症状を伴う。

 胃腸などの消化管がウイルス感染すれば、嘔吐、下痢、腹痛などの腹部症状と全身症状を合併する感冒性胃腸炎(お腹の風邪、胃腸かぜ、腸感冒)となる。感染後2日以内に発症し、およそ1〜3週間後に快復するが、重症化すれば肺炎に進行するリスクがある。

 日本呼吸器学会『呼吸器感染症に関するガイドライン』や『臨床に直結する感染症診療のエビデンス』(文光堂)などは、「抗菌薬は風邪に効かない」と明記している。

 つまり、風邪の主原因はウイルスであり、ウイルスは抗菌薬に抵抗するので、抗菌薬は風邪に効かない。日本呼吸器学会などのアカデミアは、抗菌薬は必要ないという論調が強いが、現場で風邪に抗菌薬が処方される場合が少なくない。それはなぜか?

約45%の医師は「風邪に抗菌薬を処方すべきではない」と答えているが……

 こんなデータがある――。

 『日経メディカルOnline』(2016年10月12日)は、2016年9月5 ~11日にわたって、3365人の医師を対象に「風邪に処方する抗菌薬についてのウェブアンケート」を実施。その結果、医師の約45%は「風邪の患者に抗菌薬を処方すべきではない」と回答している。

 薬剤耐性菌の増加が懸念され、医師の意識変革が求められているが、現場には抗菌薬を処方せざるを得ない実情があるようだ。それは、どのようなケースか?

 患者の希望が強い時や、高熱で細菌感染症の可能性が否定できない時は、抗菌作用の強いペニシリン系をできるだけ短期間で処方する(40代内科勤務医)。

 喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの内科呼吸器疾患を持つ患者は、二次感染が生命予後に影響を与えるリスクがあるため、積極的に処方するが、ニューキノロン系やカルバペネム系は処方しない(50代内科勤務医)。

 風邪が細菌感染症の続発を招く場合があり、患者が再診しない場合も多いので、最初から抗菌薬を投与するケースがある(50代内科勤務医)。

 そのほか、「細菌感染症でないと確定診断できる根拠がない時は、抗菌薬を出す」「高齢患者の二次感染による重症化が恐ろしいので、処方する」「高齢患者の総合感冒薬による排尿障害が心配な時は、抗ヒスタミン薬を処方しづらいが、患者の適応状況や投与期間の短縮を考慮した上で、抗菌薬を選ぶ」といった意見があった。

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