子どもには「ヘディング」をやめさせるべきか?
こうした報告を受けて、脳ダメージの危険から子どもを守るため、いち早く動いたのがアメリカのサッカー界だ。
昨年12月、米国サッカー連盟(USSF)は、脳震盪などの怪我から選手を守る新たな安全計画として、「10歳以下の子どものヘディング禁止」を発表した。さらに「11~13歳の選手に対しても、ヘディングを1週間30分以内、1人あたり15~20回にとどめる」という項目を盛り込んだ。
また今年3月、女子サッカー元アメリカ代表のブランディ・チャスティンさんは、頭部負傷の研究のために、死後に自身の脳を提供する計画を立てていると明かした。彼女は、高校入学前の選手のヘディングを止めるキャンペーン「より安全なサッカー」の支持者だという。
スコットランドサッカー協会(SFA)の元会長ゴードン・スミス氏は今回の研究を受けて、アメリカの例に倣うことも検討すべきだと指摘。「幼い子どもたちに後になってどんな影響が出ることもないよう、特定の年齢層にはヘディングをやめさせるべき」とコメントしている。
スポーツである以上、怪我をするリスクをゼロにするのは不可能だ。しかし競技のルールそのものが、将来のある子どもたちに深刻な影響を残すものであってはならない。サッカー界全体で何らかの対策を急ぐべきだろう。
(文=編集部)