沈黙する日本市場のゴールはどこか?
そんな外電の第一報が流れてから5日後の9月7日午後、菅義偉官房長官は「日本においても同様の成分を含む商品の確認を早急に実施し、とるべき措置について検討を行なってゆく」と記者会見で述べた。
しかし、それを伝えた本サイトの過去記事(薬用石鹸に殺菌効果ナシ!? 米国では販売禁止、日本でも「トリクロサン」の実態調査へ:http://healthpress.jp/2016/09/post-2572.html)でも綴ったとおり、一見潔く迅速そうに思える声明後のお役人対応が「亀の速度」に切り換わるのがこの国のかたち。
それをいいことに「居眠りウサギ」を決め込んだのか、メーカー側の動きもこれといって認められるものがない。
ところが、シャボン玉石けん株式会社は9月16日、『米国食品医薬品局(FDA)による殺菌剤入り製品の販売禁止発表について』という声明を発表。態度が明確なのには理由があって、同社の場合――。
「現在も過去もトリクロサンやトリクロバンなどの殺菌成分を含む石けんを製造・販売したことは一切ございません。もちろん今後も、国の規制の有無に関わらず、イソプロピルメチルフェノールなどの殺菌成分は一切使用いたしません」
と堂々としており、同声明では「殺菌成分以外の添加物について」も触れ、「今回FDAが発表した殺菌成分以外にも日用品や化粧品に一般的に使用されている物質の中には、生物や環境への影響が懸念されている物質が多く存在します」と、問題提起までしている。
さて、海の向こうの羊頭狗肉斬り、わが国の「のろまな亀」を多少は走らせ、「居眠りウサギ」を覚醒させる効果はあるだろうか。消費者にとっては決して水に流せない健康リスクの問題ゆえ、両者の迅速な態度表明が待たれる。
(文=編集部)