ストレスチェック対象者が恐れるのはクビ? <健康に気を配るべき業界>が低受検率という現実!

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最も健康に気を配るべき業界が低受検率という事実!

 同社は団体規模と受検率の関係について、以下のように考察している。

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 団体規模が大きいほど受検率が低いことからは、大組織ほどストレスチェック制度の周知・浸透、受検勧奨をより丁寧に時間をかけて実施していく必要があることを示唆していると考えられます。

 なお、数千人規模であっても90%以上の受検率を達成している団体も一部には存在し、そうした団体では社内報やイントラネットによるストレスチェク制度の周知、所属組織の会議や朝礼等の機会を活用した受検勧奨といった取り組みが見られました。
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 この調査結果で気になるのは、最も人の心身の健康に気を配るべき医療福祉業で、ストレスチェックの受検率が低いという事実だ。今回の分析では、「顧客対応に従事しているため受検時間が捻出しづらいのでは」と考察しているが、平常業務が終わったあとにストレスチェックを実施することは可能なはずだ。

 患者や利用者の健康に責任を負う業種だからこそ、従業員の心の健康もおろそかにしてほしくないものである。

 ストレスチェックの制度は始まったばかりで、その実施で<うつ病が減った>というエビデンスもまだない。ストレスチェックでは、仮に高ストレスと判定された人が医師との面接指導を申し出ても、会社はその社員に不利益な扱いしてはならない。また、実施機関は本人の許可なくテスト結果を会社に提供してはならない。

 しかし、実際の現場では、雇用側がストレスチェックの結果を理由に<うつ病予備軍>の社員を冷遇しない、という保証は十分にあるとはいいがたい。

 従業員が「テストの結果次第で降格されたり、雇用契約を更新しない理由に使われるかもしれない」と疑心暗鬼になったら、テストには正直に回答しないこともあるだろう。このテストが、新たなストレスの原因となったら本末転倒だ。

 ストレスチェックの目的は<働きやすい職場づくり>で、受検率のアップが目的ではない。そして、ストレスチェックの実施を、ストレス対策のアリバイづくりや、雇用側の言い訳にしてはならない。

 大切なのは、テスト結果を職場環境の改善にどれだけ生かせるかだ。悩み事を相談できる雰囲気づくりや、仕事をシェアしやすい人間関係などの<数値化できない要素>が、うつ病などの予防には重要だ。

 政府は現在、労働者に事実上無制限の時間外労働、すなわち残業を課すことが可能とされる「36(サブロク)協定」の運用の見直しに入っている。健全な経済成長のためには、過度のストレスは有害であることを、すべての事業者がもっと認識するべきだろう。
(文=里中高志)


里中高志(さとなか・たかし)
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉士。フリージャーナリスト・精神保健福祉ジャーナリストとして、『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。


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