「2つの難病」と苦闘した「2人のシェーグレン医師」
さて、シェーグレン症候群を世界に先駆けて発見したヘンリク・シェーグレン。シェーグレン・ラルソン症候群をひたすら探求したトルステン・シェーグレン。「2つの難病」と苦闘した「2人のシェーグレン医師」のスウェーデン成功物語も大団円を迎えた。
暮れ急ぐバルト海の秋は短い。黒い島並み。赤い漁り火。そんな海景に見とれながら、シュールストレミング(塩漬けニシンの缶詰)を肴に、シュナップス(蒸留酒)を傾けるヘンリクとトルステン。
ヘンリクが言う。「口と目が乾くこの病気のおかげで、人生で大切なものを教わった」「なんだい、それは?」「心の潤い、それと頭の柔らかさだよ」
1986年9月17日、ヘンリク・シェーグレンは87歳で他界。バルト海を望む丘陵地の墓地に眠る。死因は詳らかでない。
*参考文献/『アルツハイマーはなぜアルツハイマーになったのか 病名になった人々の物語』(ダウエ・ドラーイスマ/講談社)など
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。