本当に指はエラから進化したのか?
それではこの研究によって、Gegenbaur氏の説が証明されたといえるのだろうか? 軟骨魚類のエラが硬骨魚類のヒレに進化し、やがて私たちの指になったといえるのだろうか?
Gillis氏によれば、それほど単純な問題ではないという。今回の研究は、エラの発達プロセス解明の大きな一歩となったが、明らかになったのは、あくまで「ヒトの指形成に関わる遺伝子が、エラの形成にも関与していた」ということだけである。
ヒレとエラはおそらく別々に進化しており、たまたま根底のメカニズムが同じだった、同じ遺伝子を用いて同じような形になっていた、という可能性も高いと氏は考えている。
結局のところ、進化の過程を証明する唯一の証拠は化石である。エラと指の間の変化を捉えた化石が見つかったら、その時こそGegenbaur氏の仮説が正しかったと証明されることになる。
(文=編集部)