なぜ、仕方なく進学した女子はキャバ嬢になるのか? データが裏付ける「格差社会」の拡大

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ユニセフの通信簿で日本の貧困格差が浮き彫りに

 奇しくも足立区の公表に先立つ14日、国連児童基金(ユニセフ)は『子どもたちのための公平性:先進諸国における子どもたちの幸福度の格差に関する順位表』という報告書を発表した。

 この国際通信簿は、EU(欧州連合)ないしはOECD(経済協力開発機構)加盟の41カ国を比較対象したもの。所得分布で下から10%に属する世帯層(底辺)の子どもたちが、標準的(中央値)な子どもたちからどれくらい取り残されているのか? その「底辺の格差」を小さい順から順位づけている。

 その結果、日本は先進41カ国中34位。「格差の小さい順」で下から8番目……。日本が分析・国際比較されるのは今回が初めてのことらしいが、その「格差の大きさ」には、正直、驚愕を禁じえない。

 首位のノルウェーなど上位に並ぶ北欧諸国の場合、底辺層の所得が標準的世帯(中央値)の6割前後はある。一方、日本の世帯間比較では、標準所得の4割にも満たない「経済格差」が読み取れたのだ。

 ユニセフの報告書の日本語版解説を担当した首都大学東京子ども・若者貧困研究センター長の阿部彩氏は、独自のデータも加味して、日本の子どもたちの格差事情を述べている。

 それによると、日本の場合、1985年から2012年にかけて「底辺の格差」が拡大。これは中位層の所得が約177万円から211万円へと上昇したのに対して、底辺層の所得が90万円から84万円へと減少したのが要因とのこと。

 また、厚生労働省の『所得再分配調査』からも、1999年以降は「年収299万円以下」と「1500万円以上」の対照層が増加している一方、「300~1499万円」の層が減少傾向にあったことがわかるという。

「学習到達度」でも格差が顕著に

 ユニセフの報告書によれば、「学習到達度」に関する格差ランクでも、日本は比較対象の37カ国中、下から11番目という惨憺ぶりだった。

 2015年に日本労働組合連合会が行なった『大学生・院生の保護者の教育負担に関する調査』でも、「(金銭的負担がネックで)子どもの進学希望を十分に叶えてあげられなかった」という設問に、3人中1人の親が「YES」と回答している。

 回答率は世帯年収が低いほどに高くなり、500〜600万円未満の親で50.6%、200〜400万円未満の層では61.6%の悔いが刻まれている。経済的事情から選択肢が狭められた子どもたちは、ややもすれば学習や進学に対する意欲を削がれる。

「仕方なく進学しても女の子はキャバクラに行く」

 先日、自民党の赤枝恒雄衆院議員(72)が、貧困の背景について「親に言われて仕方なく進学しても女の子はキャバクラに行く」などと発言したことが話題となった。

 子どもの貧困対策を推進する超党派による議員連盟の会合で、赤枝氏は「高校や大学は自分の責任で行くもの」という趣旨を主張。その上で「とりあえず中学を卒業した子どもたちは仕方なく親が行けってんで通信(課程)に行き、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとか」と話し、望まない妊娠をして離婚し、元夫側から養育費を受けられず貧困になると持論を展開した。

 固定化された経済格差は、低所得、低学力、低学歴という負の連鎖を招き、やがて「非正規社員」の人生へとつながりかねない。皮肉なことに、赤枝氏の主張は、この国のいびつさをリアルに映し出している。
(文=編集部)

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