>  >  > 抗がん剤治療による「ケモブレイン」の実態とは?

抗がん剤治療の後で記憶力・思考力・集中力が低下したら「ケモブレイン」の可能性も!

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ケモブレインはどこまで解明されたのか?

 ケモブレインの原因はまだ明らかになっていない。

 一部の化学療法薬の神経毒性が関連するという説があり、動物実験レベルでは、一部の薬剤について、血液脳関門(脳を守るためのバリアの働きをする機構)を突破して脳細胞に障害を与えたという報告もある。しかし、そもそも化学療法が原因かどうかも、はっきりとは解明されていない。

 また、乳がんなどでは、ホルモンの変化に伴う免疫不全や微小梗塞といった要因も挙げられ、治療後に用いられる再発予防の薬剤が寄与している可能性もある。

 さらに、どのようながん種で発症しやすいか、何%ぐらいの人に発症するか、どのタイミングで発症し、どれぐらい持続するか、ということについても確かなデータはない。

 しかし、ケモブレインという問題が実際に存在することが判明し、認知されてきた意義は大きい。今後はケモブレインの治療や軽減のための研究が進むことが期待される。

 「物忘れがひどくなった」「集中力が落ちた」「頭がぼーっとする」というような症状は、「気のせい」にして片付けがちであるが、ケモブレインの可能性も多分にある。思い当たることがあったら、ひとりで抱え込んでしまわずに、神経内科医や神経腫瘍医に相談してみてほしい。
(文=編集部)

●参考文献
○American Academy of Neurology発行の患者向け冊子 Neurology Now 2014; 10: 20-27
○聖路加病院オンコロジーセンター発行の患者向け冊子「ケモブレインの謎を解く――これから抗がん剤治療を行う方へ――」)

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