妊婦が感染すると小頭症の赤ちゃんが生まれる恐れも
妊婦さんたちに、さらに気をつけてもらいたいのがジカ熱だ。
国立感染症研究所や世界保健機関(WHO)によると、ジカ熱はジカウイルスが引き起こす感染症で、2~7日の潜伏期間を経て発熱・発疹・筋肉痛などの症状を伴う。症状は7日以内に治り、感染してもおよそ8割の人は発症しない。
だが、妊婦が感染すると怖い。先天的に頭が小さいために脳の発育不全につながる小頭症の新生児が生まれるリスクが高くなる。ジカ熱は、手足の筋力低下に苦しむ神経障害のギラン・バレー症候群にも関連するといわれるので、注意が必要だ。
ジカウイルスは、1947年にアフリカのウガンダの森に生息する猿から発見され、5年後に人への感染が確認された。ジカ熱は、ジカウイルスを持ったネッタイシマカに血を吸われると発症するが、人から人への感染はまずない。
2016年2月現在、ブラジルをはじめ中南米など28の国や地域に広がっている。WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、1年間に感染者は300万~400万人に増えると警告する。緊急事態宣言は、2014年8月に西アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱を警告して以来だ。
ジカ熱は日本でも広がるのか? ジカウイルスを媒介するヒトスジシマカは国内にも生息し、デング熱なども運ぶ怖い刺客だ。活動時期は5~10月なので冬期は流行の恐れは低いが、活動時期に感染者が入国し、その人を刺したヒトスジシマカが他の人へ媒介すれば、感染が広がる恐れは十分にある。
ジカ熱に有効なワクチンや特効薬はない。特に2月開催のリオのカーニバルや8月開催のリオロ五輪なども不安材料だ。流行国に渡航する時は、ヒトスジシマカに刺されないように、虫よけや肌を露出しない衣服を準備するなどの防止対策が欠かせない。
(文=編集部)