ALDH2の働きの強弱がすべてを握っているのは分かった。では、日本人は欧米人に比べて、酒が強いのか弱いのか?
酒が強いのはALDH2活性型、酒が弱いのはALDH2低活性型ともいう。欧米人は体格や肝臓が相対的に大きく、少量の飲酒後に顔面が紅潮したり、動悸・頭痛が起きるフラッシング反応が小さいので、酒が強いALDH2活性型になる。
一方、日本人のおよそ半数は、体格や肝臓のハンディがあり、フラッシング反応も大きいALDH2低活性型だ。つまり、日本人の方が酒に弱い。
日本人でも、酒が強い弱いの地域差がある。筑波大学の原田勝二教授らのALDH2活性型の研究によれば、酒が強いベスト3は、秋田、岩手、鹿児島、酒が弱いベスト3は、三重、愛知、石川だった。
酒が強いか弱いかは、先祖代々、遺伝による生まれつきの体質が決めている。上戸なのか下戸なのか、自分の体質をよく知り、うまい料理を肴に、愉しく酒を味わいたいものだ。
「酒がいちばんいいね。酒というのは人の顔を見ない。貧乏人も金持ちも同じように酔わせてくれるんだ」――古今亭志ん生
(文=編集部)
参考:「おもしろサイエンス お酒の科学」(日刊工業新聞)、国立がん研究センターHP、e-ヘルスネットHP(厚労省)、「からだのしくみ辞典」(日本実業出版社)、「アルコールと健康NEWS&REPORTS」(アルコール健康医学協会)、独立行政法人 酒類総合研究所HPほか