研究者は「これは環境騒音と心血管疾患の関係について調査した過去最大規模の研究です」としたうえで、「騒音と健康の関係性は成人全体よりも高齢者グループの方が強く表れたことから、高齢者の方が道路交通騒音に弱いことを示唆するもの」と述べている。
調査規模は違うが、ロンドンの騒音に関する研究は過去にもあった。西部の人口密集地にあるヒースロー空港周辺では、飛行機の騒音が大きい地域ほど脳卒中や心筋梗塞などの入院率が段階的に高くなるという論文が、2013年に発表されている。また、米・ハーバード大学の研究チームも、幹線道路から50m圏内に住んでいる女性に、統計的に心臓突然死が多かったことを報告している。
食事や喫煙、高血圧や糖尿病などに比べれば、心血管疾患のリスク要因として騒音はさほど大きくはない。しかし、とりわけ高齢者がいつまでも元気で暮らすには、うるさい場所よりも静かな環境が望ましいことは明らかだろう。都会暮らしの利便性は魅力だが、どのような環境でも生活空間の防音につとめることが、健康法のひとつといえるだろう。
(文=編集部)