DNA鑑定秘話 第17回

DNA鑑定秘話〜米国の冤罪事件は25年間で約1300件! 死刑囚143人が無実を証明!!

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 1992年、ニューヨーク市の弁護士らは、冤罪事件の被告人を支援するイノセンス・プロジェクトを立ち上げた。その共同代表のバリー・シェック氏は、無罪になったO・J・シンプソン裁判の弁護チームにも参加した敏腕の弁護士だ。シェック氏は、ジム・ドワイヤー氏、ピーター・ニューフェルド氏と共同執筆した『無実を探せ!イノセンス・プロジェクト――DNA鑑定で冤罪を晴らした人々』(現代人文社)の中で、次のように発言している。

 「冤罪を生む原因は、被害者の思いこみによる目撃証言、自称専門家による杜撰なDNA鑑定、人種差別に基づく偏見、やる気のない弁護士など、数え上げればキリがない。我々のチームは、なぜ無実の人が刑務所に入ったのかを究明するために、先進のDNA鑑定を駆使して冤罪を晴らしてきた」

 さらには、捜査段階で血液、唾液、精液、指紋などの科学的なDNA鑑定が精緻に行われないケースが多い。事件が大きければ大きいほど、犯人検挙への圧力が高まるために、捜査当局の見込み捜査、予断や偏見など、人為的・作為的な要因が誤認逮捕、誤審・誤判を招くことにつながる。

 シェック氏によれば、『無実を探せ!』の出版後、証拠の再検証やDNA鑑定は、242人もの冤罪無罪を暴いた。DNA鑑定の導入は、主観を排した科学的なエビデンスに基づく公正な犯罪捜査や裁判への道を開いたのは明白だ。

 シェック氏は「我々のミッションは、無実を助けるだけでなく真犯人を捕まえること。無実の人が刑務所に入れば、真犯人は野に放たれたままになる。真犯人はさらに犯行を繰り返す恐れがある。昨年は、DNA鑑定で242人が無罪になった結果、105人の真犯人を逮捕できた」と続ける。

 17年にわたるイノセンス・プロジェクトの活動は、捜査側の協力がなければ進まなかっただろう。冤罪を晴らす地道な支援活動は、社会の安全につながるという理解やコンセンサスが社会に広がったのだ。

 「容疑者自身の誤った自白も問題。虚偽の自白を避けるには、取り調べのビデオ録画が最良の手段だ。真犯人か捜査関係者しか知り得ない内容を、尋問側が容疑者にほのめかしていないか、チェックしなければいけない」とシェリック氏は、ビデオ録画の重要性を主張する。

 イリノイ州では、DNA鑑定などで死刑囚の冤罪が明らかになり、171人の死刑囚が減刑・恩赦になっている。その時、取り調べのビデオ録画を義務づける法律の制定に奔走したのは、当時、州議会議員だったバクラ・オバマ大統領だった。

 テキサス州ダラス市では、検察側が積極的に過去の捜査を検証した結果、多くの冤罪が発覚。検察側が起訴事実の過ちを認めたため、服役していた夥しい無実の人たちが自由を得た。

 無実の人が冤罪無罪を勝ち取り、真犯人の逮捕につながれば、社会の平穏と安全は保たれ、捜査当局や司法当局に対する世論の信頼も評価も高まるのだ。今回は、DNA鑑定が無罪を晴らしたアメリカの冤罪事件を話した。次回も、DNA鑑定にまつわるトピックを話そう。

佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

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