日本の腎臓移植は2013年の1年間で合計1,586例が施行されており、そのうち生体腎移植は1,431 例で実に全体の90.2%になっており、献腎移植155例(9.8%)ときわめて低い割合だ。しかも前年より献腎は減少している。(日本移植学会、日本臨床腎移植学会統計報告より)。
人口100万人当たりの移植件数を見てみるとでも、アメリカが約50例あるのに対し、日本はわずか5件程度にとどまっている。もちろん主な理由は、臓器提供の少なさだ。国際的には人口100万人当たり、15~20人程度の臓器提供が一般的。80人程度あれば、自給自足はできるとするデータもあるが、日本はわずかに0.5~0.75人だ。
その上、日本は世界有数の渡航移植大国でもあり、世界中の臓器を買いあさっているとの批判もある。こうしたあまりにも移植用の臓器提供が少ない日本で、臨床医の経験と卓越した技術、さらには"移植難民"救済の可能性を模索した結果が修復腎移植だった。
『死の臓器』は、こうした腎臓移植をめぐる日本の医療の現実をしっかりと理解しておくとさらに面白くなるはずだ。
(文=編集部)