小脳に影響があると深刻なめまいやふらつきに
タッキー&翼の今井翼さんが2014年の大晦日、東京ドームで行われたカウントダウンコンサートに出演。メニエール病による活動休止後、初めてパフォーマンスを披露した。
今井さんは11月、めまいなどによる体調不良から立ち上がるのも困難な状況になって入院。退院後のリハビリを経ての復帰だった。1月からは東京・青山劇場でミュージカル「PLAYZONE」に主演し、完全復活の姿を印象づけた。
メニエール病は、視界がグルグル回るような激しいめまいに加えて難聴、耳鳴り、耳閉感が同時に症状を繰り返す「内耳」の病気だ。厚生省特定疾患研究班調査によると、メニエール病は40代が発症の中心で、男性に比べて女性がやや多い。症状が進行して常態化すると治すことが難しく、厚生労働省の「特定疾患」に指定されている難病だ。
深刻なめまいやふらつきは、内耳以外のトラブルでも起きる。からだのバランスをとったり、大脳の命令通りに全身運動が行われているかをチェックするのは、小脳の役割だ。チェック結果は大脳皮質の運動野に送られ、微妙な再コントロールを行っている。
小脳は、脳全体の重さでは10%ほどしかないが、折り畳まれた表面は細かいシワで覆われ、表面積は全体の約75%を占める。近年の研究では、より多岐に渡るさまざまな機能をもっているのではないかといわれている。
ストレス過多がめまいやふらつきが起こす?
酒を飲むとふらつくのは、アルコールが小脳に影響を及ぼしているからだ。めまいやふらつきは、脳腫瘍や炎症性の疾患などで小脳が損傷しても現れる。ほかには、脳卒中、中耳の異常、メニエール病、良性発作性頭位、貧血、降圧薬の副作用などが原因に挙げられる。
めまいやふらつきは、過度なストレスが引き金となって起こることもある。パニック症候群やうつ病なども原因になる。高所恐怖症の人が、わずか2、3段の脚立に登っただけでふらつき、落下するなどというのも心因性のものといえる。それだけ小脳は、体のバランスに対して敏感に反応しているということだ。
ちなみに小脳の損傷かメニエール病なのか、鑑別する簡易な方法を紹介しよう。
●イスに腰掛けて両眼を閉じ、人差し指を右ひざ頭に置く。両眼を閉じたままその人差し指をもってきて鼻先を触る。さらに左ひざ頭でも同じように繰り返す
小脳が異常の場合、何度も繰り返すと、指が鼻先に戻ってこないことが多い。
●両眼を閉じて、畳のへりなどの直線を真っ直ぐに歩けるか?
酒酔い運転のチェック法と同じだが、両腕を広げて歩いてもふらつくなら、バランスをとる機能のどこかに異常がある。一人で行うのは危険なので、誰か側にいて見てもらうといい。
めまいやふらつきは体が発する大切な"警報"
こうしためまいやふらつきも、体からの異常を知らせる重要な"アラートサイン"だとか考えればありがたいものだ。特にめまいは注意が必要だ。徐々に悪化して朝、ベッドから起き上がれなくなったり、寝ている間にも起きたりするケースがある。
さらに悪化すると、強い頭痛や手足に麻痺が出てきたり、ものが二重に見えたり、唇が下がってよだれが出てくる症状が現われる恐れもある。たかがめまいと甘く見ないで、症状が軽いうちに早めに医療機関を受診したい。
(文=編集部)