日本人は血液型の性格判断が大好き? kapi/PIXTA(ピクスタ)
なぜか日本人は血液型による性格判断が大好き。でも最近は「ブラハラ(ブラッドタイプ・ハラスメント)」が問題視されているし、B型やAB型の人の「血液型の話は嫌だ」というウンザリした声も少なくない。
しかし、こと医学の世界では血液型による体質の違いは確かに存在している。たとえば、A型はO型の人に比べ心筋梗塞が多いことや、O型は他の血液型よりも脾臓がんになりにくいことなどが、科学的に証明されているという。
そして今年の9月、血液型と認知症のリスクにわずかな関連がある可能性が、アメリカでの最新研究により発表された。AB型の人は他の血液型の人に比べて、加齢とともに認知や記憶に問題が生じるリスクが高いというのだ。
アメリカ・バーモント大学の研究者たちは、45歳以上の被験者3万人以上を対象として、約3年半の間に4回の認知機能検査を実施。その結果から、何らかの記憶、あるいは認知障害を発症した495人のグループと、障害の兆候がなかった587人のグループを抽出し、血液型の分布を比較した(年齢、性別、人種、居住地域など、ほかの条件については補正を行っている)。
その結果、アメリカ全人口のうちAB型の人は4%なのに対し、記憶障害を起こした人のグループのうちの6%がAB型だった。研究者はこの結果から、AB型の人は他の3つの血液型の人と比べて、認知症の前段階にあたる思考力や記憶の障害を発症する可能性が高いと分析。さらに、最も可能性が低かったO型と比較すると、発症率は82%も高くなったという。
●血液型より喫煙や肥満の方が危険
AB型は世界的に最も少ない血液型。米国は人口の4%、日本でも9.4%を占めるに過ぎないが、認知症の発症に関わるとなれば、本人や身近な人も少しショックを受けるかもしれない。
しかし、この研究を実施したバーモント大学医学部教授のマリー・クッシュマン氏は、「最近の研究を考慮すれば、必ずしも驚くような内容ではない」と述べている。今までもAB型の血液は、凝血や血管障害の症状に影響する可能性があると示唆され、AB型と脳卒中リスクとの関連も示されているからだ。認知症にはいくつかの種類があるが、そのひとつである脳血管性認知症は、脳梗塞、脳出血など、脳の血管に異常が起きた結果とされている。
また今回の研究では、「血液凝固第Ⅷ因子」(血液を凝固させるたんぱく質11種類のうち8番目のもの)の濃度が高い人は、濃度が低い人よりも認知力の問題を起こす可能性が約25%高くなることも分かった。そして過去の研究から、血液型がAB型の人は、概してこの因子の濃度が他の血液型の人よりも高いことが分かっているのだ。
ではAB型の人は、いったいどうすればいいのだろう?
それに対して、マリー・クッシュマン氏は「今回認められた関連性は、比較的小さなものです。AB型だからといって極端に心配する必要はありません。血液型に関わらず、健康的な生活を目指すことのほうが重要です」と述べている。
血液型よりも、喫煙、運動不足、肥満などの方が認知症のリスクファクターとしてはずっと大きいというのが結論。
ここでほっと胸をなで下ろしたAB型の人もいるのではないだろうか。医学的に証明された体質の違いはあっても、元気な脳を維持するためには健康的なライフスタイルが一番大事。興味はあっても「性格判断みたいなものだ」と、気にしないのが一番かもしれない。
(文=編集部)