検証 菅政権はなぜコロナに負けたのか➀

GoToトラベルへの異常なこだわりと行動制限の長期化という失策

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政府のコロナ対策をきっちりと検証すべき

菅義偉首相が自民党総裁選への出馬を断念し、安倍晋三首相を引き継いで発足した菅政権はわずか1年で幕引きが決まった。新型コロナウイルスへの対応を誤り、国民に見放された末の退陣劇。菅政権はなぜコロナ対策に失敗したのか。「コロナ敗戦」の本質を総括する。

退陣の弁に反省なし

 「新型コロナ対策と多くの公務を抱えながら総裁選を戦うのは、とてつもないエネルギーが必要。9月12日の(緊急事態)宣言の解除が難しい中で、対策に専念すべきと思い、総裁選挙には出馬しないと判断した」。菅首相は9月9日、東京はじめ21都道府県の緊急事態宣言の延長などを決定した後の記者会見で退陣の理由を語った。
 
 中身は同月3日、記者のぶら下がり取材で一方的に述べた不出馬宣言とほぼ同じだ。コロナ対策については、自ら号令をかけたワクチン接種の推進とその効果を強調する内容が主で、率直な反省の弁は聞かれなかった。冒頭発言の最後は「子供や若者、国民の皆さんが安心と希望を持てる未来のために、道筋を示すことができた」と、鼻白むような自己称賛の言葉で締めくくった。

感染を加速させたGoToトラベル

 だが、現実は「未来への道筋」どころか、今年1月8日に首都圏へ2度目の緊急事態宣言を出して以来、ごく一時期を除き宣言とまん延防止措置をほぼ8カ月にわたって繰り返す日々が続いている。菅首相の退陣を招いた原因は、いくつかの大きな政策的失敗にある。1つひとつ見ていこう。
 
 まず、第1に挙げられるのはGoToトラベルだ。安倍政権が昨年7月下旬から東京を除く全国を対象に開始し、9月に発足した菅政権が12月の終わりまで続けた。政策の中身は、全国民を対象にした、宿泊費やお土産代に対する国の補助金だ。こうした旅行奨励策はコロナが収束してから実施されると思われていたが、政府は常識を覆して早々と導入し、5カ月間も続けた。
 
 特にひどかったのは菅首相の「暴走」とでもいうべき政策判断だ。10月に東京都の感染が収まり、対象に追加されると、感染者数は徐々に拡大。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)は11月中旬から警鐘を鳴らし始めた。同20日は分科会がGoToの停止を求め、尾身会長が「政府の英断をお願いする」とまで言った。しかし、菅首相は「GoToトラベルが感染拡大の原因だというエビデンスは存在しない」などと専門家の意見をまともに聞かなかった。

遅れた緊急事態宣言

 GoToの継続に前のめりな首相に国民の方が引き始め、12月の世論調査で内閣支持率が急落。菅首相もようやく重い腰を上げたが、それでも停止期間は12月28日から翌年1月11日までと、ぎりぎりまで伸ばし、かつ短期にとどまった。その結果起きたのは、第3波の急激な感染拡大。年末年始の休暇期間中も含めて高水準の数字が続き、年明けの1月8日には全国で約8000人、東京都は同7日に約2500人と、それまでの過去最高を更新した。
 
 一方、政府が1都3県に2回目の緊急事態宣言を発令したのは同8日。過去最悪の感染ピークの日に宣言を出す間抜けぶりだった。

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