コロナで失われた生徒たちの時間 大学入試を1年先送りに

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臨時休校の暗闇のなかで、知力・体力・気力の衰えに直面

 新年度が始まって最早、一ヶ月が過ぎてしまった。早急に今後のスケジュールを検討した上で生徒に提示する必要があると考える。例えば中学3年生にとって、年度末には高校入試が待ち受けるため、学校再開後には急ピッチで学習の遅れを取り戻す必要に迫られる。また、学校は家庭学習の取組状況や成果から成績をつけ、部活動や委員会活動など諸活動の記録・実績を記載した「調査書」を作成しなければならない。4月以降の取り組み状況を評価した成績に妥当性と公平性があるのか?このことに生徒や保護者が疑問を持つのは当然である。この際、オリンピック・パラリンピックと同様に今年度末の入学者選抜を1年先送りとすることが最も妥当ではなかろうか。

 また、高校3年生は、今年度から始まる新しい大学入試に対処しなければいけない。新入試では、主体性・多様性・協働性を多面的に見るという趣旨から「調査書」がより重視されるとされ、書式も大幅に変更された。にもかかわらず学校活動が停止中で、部活動や学校行事が軒並み中止に追い込まれているため、記載すべき活動記録がない。やはりここは、大学入試を1年先送りとすることが最も妥当である。その他の学年においても、学習すべき内容が不十分に終わる可能性が高いため、今年度に学習すべきであった内容を来年度に先送りすべきではなかろうか。この大方針を示した上で、新たに生じる問題点について一つ一つ解決していけば良い。

 私たち大人はもっと大きな視点を持って、子どもたちの教育に責任を持つべきなのだ。そもそも彼らは勉強だけでなく、部活動や生徒会活動、学校行事などで極めて貴重な時間を体験するはずだった。ところがその機会は奪われた。今、臨時休校の延長、再延長と先の見えない暗闇のなかで、児童・生徒達は知力・体力・気力の衰えに直面している。昨年度の首相による突然の休校要請からまもなく2ヶ月。この先、感染者の増加が止まらず、長い戦いとなる場合も予想され、若者のモチベーションをどのように維持するのかが重要な課題となる。もしも国の英断が下され、失われた時間を来年度に確保するという計画が示されるならば、全国の若者は頑張れる。コロナ騒動が沈静化し、来年、本当の春を迎えるまで知力、体力、気力を落とさないよう毎日を過ごすことができる。
(文=矢野 悟)

矢野 悟(やの・さとる)
神奈川県立厚木高等学校
※医療バナンス学会発行「MRIC」2020年5月5日より転載(http://medg.jp/mt/)

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