コロナで失われた生徒たちの時間 大学入試を1年先送りに

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授業再開の見通しがが見えない教育の現場

 学校では新学期が始まったが、新入生は入学式と臨時の登校日にわずかな時間、顔を合わせたのみで、その後は担任やクラスメートと一度も会っていない。オンラインでつながる生徒は、学校から配信される課題を提出したりしているが、それも全員ではない。授業は一度も行われず、部活に加入することもない。宿泊研修や遠足、様々な学校行事は、軒並み中止となった。例年であれば心臓検診など各種の健康診断が行われる時期であるが、これも中止の判断をした。5月には、教職をめざす多くの大学生が教育実習に入るが、これも中止せざるを得ない。当該の大学生らは途方に暮れているに違いない。

 ニュースを見るにつけ、「1日あたりの死者の数が最大となった」一方で「拡大傾向が鈍化してきた」など、ニュースの一つ一つに一喜一憂し、「止まない雨はない」と自分を鼓舞してみたところで、果たして収束の時は来るのか?と弱気になってしまう。医療に疎い私達には、医療関係者の方々の安全を願いつつ、一日も早い事態の収束を祈るばかりである。

家庭学習重視だけでは生徒の正当な評価ができない

 ところで、自家用車による訪問が止まらなかった観光地や、高齢者を多く見かける商店街の混雑もさすがに解消しつつあるようだが、実はこの2か月、stay homeの呼びかけに最も素直に従ってきたのは、休校措置がとられるまで普通に学校に通っていた児童・生徒たちであり、5月7日からの学校再開も怪しい状況で彼らを虚無感が襲う。

 さて、4月10日付けで文科省から出された通知によると、新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業に伴って学校に登校できない児童・生徒に対しては、家庭学習を課し、教師がその学習状況や成果を確認*して評価(=成績)に反映することができるとされた。 
(*ワークブックや書き込み式のプリントの活用、レポートの作成及びそれに対する教師のフィードバック、ノートへの学びの振り返りの記録、登校日における学習状況確認のための小テストの実施など)

 また、生徒が学校に登校することができるようになった時点で、可能な限り、時間割編成の工夫、学校行事の精選、長期休業期間の短縮、土曜日に授業を行うこと等による補習を行うこととされ、加えて、休業が長期化した場合、家庭学習で十分な内容の定着が見られたならば、再度学校で取り扱わなくて良いともされた。これについては、たとえ学校再開が遅れても年度末までに帳尻を合わせようというものであり、現実的な判断だとする意見もある。

 しかし教育というのはあいまいなもので、あらかじめ設定した目標に達成したか否かについて評価する時、大人社会の都合に合わせた恣意的な判断が入り込みやすい。これまで普通に実施してきた定期試験や日々の小テスト、机を向かい合わせて行う議論、週末に出した宿題を翌週に提出させる際にも、生徒間で不公平があってはならないし、生徒の取り組み状況を測る際にも、生徒、保護者の納得が得られるような妥当な評価となるよう、教師たちは細心の注意を払ってきた。成績(=評定平均)が、生徒の進級や進学に際して重要な査定材料となる現行システムの中では、学校が家庭学習の成果を評価することは極めて困難である。

 学校再開の見通しが立たない中、家庭学習の充実を図っていくことはもちろん必要であるが、ネット環境のある家庭もそうでない家庭もある。公的支援を受けて機器の整備をさらに進めたとしても実際に学校とやり取りすることができるまでには相当の時間が必要だ。また、これまで塾に通っていて学習進度の進んだ子もいれば、そうでない子もいる。学校が各家庭の個別の事情に入り込んでセーフティネットの役割を果たすことは、学校が実質閉鎖されている今の状況では難しい。学校関係者は正解を見つけられないでいる。

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