「メディアが書けない」新型タバコの本当のリスク
また同書では、「メディアが書けない」、いわゆる「新型タバコ」の本当のリスクにも迫るっている。
JT社は、今年1月に従来の「プルーム・テック」に加え、約200度の高温で加熱する新型「プルーム・エス」を発売した。田淵医師によれば、<これを伝えたニュースなどは、JTのプレスリリースの内容がそのまま報道されたものばかり。残念ながら、この出来事に潜む問題点は伝えられていない>という。
問題点とはこうだ。2016年に発売開始されたプルーム・テックは紙巻タバコに比べ、匂いも有害物質も「1%未満」であることを売りにしていた。それから3年後にリリースされた高温仕様の「エス」が、「テック」と比べて有害物質が明らかに多い新商品であることはいうまでもない。その戦略的なからくりを、田淵医師は次のように指摘する。
<プルーム・エスでは、紙巻タバコと比べ、匂いは「5%未満」で、有害物質量が「10%未満」と示された。これは、プルーム・テックと比較すれば、匂いは5倍、有害物質は10倍だ>
加熱式タバコの健康リスクや受動喫煙被害については、未だ確実な安全性は担保されていない。その一方で、前述のカムフラージュシールが、デバイス同様に「ガジェット好き」な日本人にバカ売れしている現実――東京オリンピック・パラリンピックを控え、いよいよ受動喫煙対策が本格スタートする今、タバコ企業の次なるプロモーションに注視したい。(文=編集部)