屋外では体感温度30度でも熱中症に! 降圧や利尿の薬は脱水リスクを高める恐れも

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熱中症で死亡したケースをみると……

 専門家によると、降圧薬や利尿薬は身体の体液バランスに影響し、猛暑時には脱水リスクを高める可能性があるという。

 また、発症当日に死亡した14例中13例は、中等度以上の負荷がかかる作業を行っていた。服装を見ると、25例中4例は通気性の悪い厚手の服を着用。さらに25症例全体では、発症時の熱指数の中央値は33.3度であったが、その幅には28.3度から43.3度までばらつきが見られた。

 なお、今回の研究では、熱中症予防の目安として広く用いられている「暑さ指標(WBGT:気温と湿度、風速、輻射熱を考慮して数値化したもの)」ではなく、温度と相対湿度から算出する「体感温度である熱指数」が用いられた点も注目に値する。

熱中症は、油断大敵、過信禁物!

 専門家のひとりで米レノックス・ヒル病院救急科のRobert Glatter氏は、数多くの熱中症患者の診療に当たった経験から「熱中症は救急搬送が必要な危険な状態だ」と強調する。

 熱中症になると摂氏40度以上の高熱や意識障害、大量の発汗などが見られるようになる。応急処置としては、涼しい場所に移し、氷水をかけるなどで身体を冷やし、体温を下げることが重要になるという。

 さらにGlatter氏は、夏場に屋外で作業するときは厚着を避け、吸湿性や通気性のよい素材の服を選び、こまめに水分補給をすることを強く勧めている。

 また、水分補給時には、塩分を含んだ経口補水液などを摂取し、脱水をもたらすカフェインの過剰摂取は避ける必要があるとしている。その他の注意点は以下のとおり。

●気温と湿度の上昇をモニター(監視)し、予防策を講じる責任者を決める。

●作業を始める前に高温多湿の作業環境に作業者の身体を慣れさせる。熱中症のリスク因子がある人には特に注意を払う。

●日陰や冷房の効いた場所でこまめに休憩する。

●水分や電解質を補給できる飲み物を準備する。

 いずれの予防法も既視感というか、どこかで目に(耳に)した注意事項ばかりかもしれないが、油断大敵、過信禁物だ。

 「このくらいの暑さなら平気」なんて強がりを言っているうちに、熱中症で救急搬送、しかも命の危機なんてことにならないよう肝に命じて、この酷暑を乗り切ろう!
(文=編集部)

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