若者がセックスも就職も放棄!? ドラマ『過保護のカホコ』が共感された理由

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 「ライフスキル」とは、自分で何を行うのか決めたり、周囲とコミュニケーションを取って対人関係を築いたりする能力を指す。このライフスキルの低下が、少子化や労働人口の減少と大いに関係する。

 まず、異性とコミュニケーションを取ろうとしなければ、恋愛に発展することはない。ましてやセックスは、互いの愛情を確認する究極のコミュニケーション。セックスが面倒くさくなってしまえば、当然、少子化は進む。

ドラマ『過保護のカホコ』を振り返る

 ここでドラマ『過保護のカホコ』を振り返ってみよう。カホコの母親は娘を自宅まで送ってきた初に「とにかく今後いっさい会わないでもらいたいんですよ。あなたと娘は、これから生きていく世界が全然違うんで」と告げる。

 さらに、「年頃の男の子はみんなオオカミなんだから。もう会っちゃだめよ」というカホコへの発言。娘の人間関係に介入し、コミュニケーション能力を低下させるように母親が働きかけている。

 加えて、仕事は学校の勉強とは違って、決められたカリキュラムをこなすわけではない。突発的な問題が持ち上がるのが常である。そのときに混乱したり、放り投げてしまったりしたら、仕事は成立しない。

 問題を解決するライフスキルが乏しいために仕事を辞めてしまう人が増えれば、労働人口は減ることになる。

 『過保護のカホコ』ではどうだろうか? 就職活動で苦戦しているカホコに「だったら花嫁修業して専業主婦になればいいじゃない。家族を幸せにするのもとてもステキな仕事よ。そう思わない? そう思うよね」と話す母親。

 子どもの決定権を奪い、問題を解決する意欲を捨てさせようとする発言である。

 ドラマでのカホコは、初との恋愛をきっかけに両親から自立し結婚。児童施設で働くカホコの姿でエンディングを迎えた――。

 多くの場合、現実はドラマのようなハッピーエンドにならない。自分の子どもだけでなく日本の将来も駄目にしないように、子ども自身に問題を解決させ、決定権と責任も与えて、ライフスキルを育てるように親は心がけてほしい。もちろん、私もそんな親の一人で、目下修行中である。
(取材・文=森真希)

森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている

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