禁煙の移行手段として電子タバコの有効性を説く疫学報告
これはハームリダクション(harm reduction)と称され、健康被害を行動変容などによって予防・軽減させる公衆衛生上の実践・方略・指針・政策の典型例だろう。事実、最近の学術誌には、禁煙への移行手段として電子タバコ使用の有効性を説く疫学報告も散見される。
しかし、こうした効能報告の裏側には、やはりタバコ企業からの「紫煙」、いや「研究支援」が少なからず作用している点にも触れておこう。
FDA方針の革新性を認めつつも「失速する可能性も否めない」と懸念を口にするのは、若者の喫煙阻止キャンペーン(Campaign for Tobacco-Free Kids)代表のMatt Myers氏だ。
「たしかにGottlieb長官の今構想は、FDAが喫煙による死亡率や疾病率を低減させるよう、これまで取り組んできた方策の中でも最も包括的なものである点は認められる」
が、「現実問題、タバコ業界をして低ニコチン製品を作らせるにはやはり長い時間を要するだろう。含有量を減らしたタバコの場合、そのぶん喫煙本数が増えるし、より深く吸い込むなどの問題点も示唆されており、その考慮も避けて通れないから」と話す。
FDAは今回、禁煙補助薬(ニコチンパッチやニコチンガムなど)の安全性を高める取り組みを進める点を公約している。FDAタバコ製品センターのMitch Zeller氏は「新技術がもたらすベネフィットと、潜在的なリスクの双方を徹底的に追及するのが肝要だ。
その研究成果はもちろん、死亡や疾患の主要因となっている紙巻きタバコの対策にも反映されるだろう」と話す。
ロックビル社がニコラ・フォルミケッテイ氏と電子タバコを共同開発
そんな折も折、ロックビル社がファッションプロデューサーのニコラ・フォルミケッテイ氏(=レディ・ガガの専属スタッフで話題の「生肉ドレス」を手掛けた人物)と電子タバコを共同開発し、10月上旬から発売することを発表した。
その名も「DR.VAPE(ドクターベイブ)」、ニコチン・タールは「ゼロ」という話題性も手伝って早くも予約殺到中。
Flavorも日本人の繊細な味覚に合わせたと謳い、創業100年超の国内老舗香料メーカーの協力を仰いで「ワイルドビター」「ピュアアップル」「リラックスバニラ」などの6種類を取り揃える。
なんだか妙にオシャレな嗜好品に想えてくるではないか……。さて、電子タバコ世代のFlavorが恋歌の歌詞上に表われる際はいったい、どんな描かれ方をするのだろうか。
(文=編集部)