「軽い煙草もない五輪」へ
問題は一見(一聞?)軽さが良さげに映るフィルターの穴効果が「煙草の燃え方を変える点にある」と、Shields氏らは指摘している。
「燃え方が変わることで、喫煙者はより多くの煙を吸い込んでいる。より多くの発がん性物質や突然変異誘惑物質が生みだされ、それ以外の有毒物質も含まれている」
「そんな煙が肺の奥のほうまで量的に到達するため、肺腺がん発症の要因になっていると思われる」
穴開き煙草の隆盛と、過去20年間の肺腺がん増加現象とは「今回の解析結果によって、明確な関連性が示唆された」と研究陣は説いている。
とりわけ憂慮されるのが「現在嗜まれている人気の煙草種が事実上、総て穴が開いているという点だ」と、彼らは警告する。
「メーカー勢は、これらの煙草がより安全であるかのように思い込ませてきた。実際はより多くの害を及ぼすにもかかわらず、軽い煙草という印象で喫煙者や医療関係者、ひいては公衆衛生のコミュニティーを欺いてきたわけである」
研究陣は今回の知見を根拠に、規制当局に対して「軽い煙草」の禁止と危険性の啓蒙を呼びかけている。
がん患者と医療者ら220人以上が「たばこ煙害死なくそう!」
一方、そんな注目論文の話題と歩調を合わせたかの如くわが国でも、がん患者と医療者ら220人以上が発起人となり、厚労省案の「建物内禁煙」実現に向けた活動が旗揚げされた。
スローガンも「たばこ煙害死なくそう。受動喫煙のない国に」と鮮明にして簡潔な内容で、ネット上の賛同者を募り、国会議員らに届ける計画だ。
SNSやブログ上での賛同投稿も呼びかけ、ハッシュタグも「#たばこ煙害死なくそう」「#禁煙声明賛同」「#受動喫煙で死にたくない」などの添付を提案している。
こうした狼煙に火を点けたのはもしかしたら、あの軽率議員の「(がん患者は)働かなくていいんだよ!」という軽口野次だったかもしれない。願わくば「軽い煙草もない五輪」の2020年成就としたいものである。
(文=編集部)