「たかが煙」の医療費総額は?
喫煙しない人も受動喫煙が原因で病気になり、そのぶん余計に負担のかかる医療費はいったいどのくらいか。
研究班は今回の推計に際し、「たばこ白書」(国の検討会が昨年発表)上で受動喫煙との因果関係が「確実」視された肺がん、虚血性心疾患、脳卒中の3種について分析を行なった。
具体的には、家庭内や職場環境下で長期/間接的に煙を吸い込んだ40歳以上の人たちを対象とし、その余計ぶんの医療費(2014年度)を算出した。
その結果、疾患別の医療費/患者数の内訳はこうだった。
肺がん(335億円/約1万1400人)、虚血性心疾患(1941億円/約12万9600人)、脳卒中(955億円/約10万1400人)――つまり、1年間で計3231億円もの医療費が「確実」な受動喫煙被害によって、余計に出費されるという計算だ。
これら被害患者たちが治療で仕事を休むために生じる「経済損失」も、3つの病気の合計で約820億円にのぼることが推計された。
「ホタル族」は駆除されるのか?
ちなみに火災による年間被害総額は1350億円(総務省統計)とされ、そのうちタバコが原因の火災は約10%前後を占めるので年間130億円前後。
総務省消防庁によれば、タバコが原因の建物被害のうち、出火場所がベランダやバルコニーの事例が増加中(2005年4.6%→2014年11.5%)なんだとか。
一方、14日、いわゆる「ホタル族」を駆除するための団体、「近隣住宅受動喫煙被害者の会」の結成が明らかにされて耳目を集めた。
代表の荻野寿美子さん自身、医者から受動喫煙症と診断されて以降、ベランダ喫煙の注意喚起声明をマンション内に貼るも効果なし…近隣関係の悪化を敬遠し、管理側への要請で解決を計ったために5年の歳月を要した体験者だ。
こうして民間での解決/改善策が日々推し進められる一方で、自民党の厚労部会では「たばこのない五輪」もどこへやら。
過日、小池百合子・東京都知事が「先手」とばかり、都議選の公約の柱の一つに「厚生省案」に近似した受動喫煙対策を掲げる考えを示したが……。
さて、「お・も・て・な・し」の行方はどうなるのか。滝川クリステルさんの意見を仰ぎたいものである。
(文=編集部)