受動喫煙の対策は後進国? 「日本は時代遅れ……」WHO幹部が見かねて苦言

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「望まない受動喫煙」は置き去りか?

 さて、飲食店や居酒屋自体が「職場」という方々(とりわけ非喫煙者)はもっと悲惨だろう。一例が、非喫煙が主流(兼就活受難)の世代として育ったアルバイター諸君で、食うためには健康面でもじぶんの将来が危機にさらされているという次第だ。

 件の健康推進法改正案を今国会に提出する方針の塩崎厚相も、3月7日、「望まない受動喫煙」の存在を理由のひとつに挙げてこう述べた。「飲食店で配膳をしている方、アルバイトの方、大学生、高校生が煙にさらされている」。

 さらに同氏は、年間1万5000人といわれる受動喫煙死亡者数の概算を挙げつつ、法律の必要性を訴えるべく、こうも談話した。

 「公共の福祉に反しない限り、喫煙の自由はある。(しかしながら)非喫煙者の方、妊婦、子どもさん、ガンの患者の皆さん、受動喫煙禁止の法律に慣れている外国人の方への配慮が、喫煙の自由よりも後回しにされている」

 これに呼応すべく現在、日本肺がん患者連絡会/日本禁煙学会は「受動喫煙対策として厚生労働省の原案に賛成」という要望書の提出を準備中だ。

タバコを吸う場所で食事なんてありえない

 一方、党内対立を深める自民党の厚労部会では「五輪、五輪というなら東京だけでやれ!」との反対案も飛び出し、「喫茶店や小売店など小さな店舗の営業に影響大」とする意見も相変わらず叫ばれている。

 後者の見解に対し、厚労省が黄門様の御紋よろしく指し示すのが世界保健機構(WHO)の外部組織「国際がん研究機関(IARC)」によるハンドブックで、そこにはこう綴られている。「レストラン、バーを法律で全面禁煙にしても減収なし」と。

 一方、民間調査機関「富士経済」が3日公表した調査結果によれば、法案の罰則が実際に施行された場合、外食市場への売り上げに8401億の影響が及ぶとか。さらにこのうち、喫煙者の顧客割合が多い「居酒屋、バー、スナック」への影響は最多の6554億円と試算されたので事態は混乱の一途だ。

 <世界保健デー>の7日に合わせて来日したWHOのダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長は、東京・新橋の飲食店も視察。「分煙では不十分。タバコを吸う場所で食事をするなんてありえない」とコメント。

 火のないところに煙は立たないというが、聖火の灯る日までに求められる対策が講じられることを願いたい。
(文=編集部)

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