生活保護世帯の子供も大学に進学できる社会に!進学率は一般世帯は53.9%、生活保護世帯は19.2%!

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生活保護世帯の子どもは大学に行けない!?(depositphotos.com)


 生活保護世帯の子どもも、生活保護を受けていない低所得の家庭の子どもも、大学に進学できる社会に変えよう! そんなムーブメントと世論が少しずつ高まっている。

 大学進学率が高まれば、生活の自立度が強まり、格差や貧困の連鎖が断ち切られ、しかも将来への選択肢も経済的な見通しも大きく開かれる。

 しかし、大学進学を夢見る子どもたちの前に、乗り越えられない高いハードルがある。打ち破れない冷たい壁が立ちはだかっている。なぜ生活保護世帯の子どもは大学に行けないのか? より正確に言えば、なぜ大学へ行くのを妨げる厳しい状況があるのか? あなたは、その理由を知っているだろうか?

生活保護世帯の子どもが大学に行くためには、別世帯にならなければならない

 生活保護は、世帯単位の稼働能力(働く能力のある人は働く)の活用を判定して決定するという世帯単位の原則がある(生活保護法第10条)。

 すなわち、生活保護世帯の子どもが大学に行くためには、子どもは生活保護世帯と世帯分離し、別世帯にならなければならない(同居していても)。子どもが世帯分離すると、世帯構成員が1人減るので、生活保護費は約6万円が減額される。そのために進学を断念する子どもが出る恐れがある。

 しかも、世帯分離した子どもは、この減額分をバイトして稼ぎながら、授業料を自分で支払いつつ、勉学に励まなければならない(奨学金受給の道はあるが)。

 これは辛い。やがて疲弊すれば、授業を受ける時間も、勉強する気力もゆとりもなくなるかもしれない。生活保護が生活も教育を受ける権利(憲法26条)も破綻させる。これは薮蛇ではないのか?

衆議院予算員会で民進党の細野豪志議員が指摘

 この問題が、1月26日の衆議院予算員会で取り上げられ、民進党の細野豪志議員が安倍総理に問い質したのだ(Yahoo!ニュース2017年1月28日)。

 衆議院予算委員会速記録(議事速報)によれば、細野議員は安倍総理が施政方針演説で述べた「誰もが希望すれば、高校にも専修学校にも大学にも進学できる環境を整えなければならない」を引用し、大学の進学率は、一般世帯は53.9%だが、生活保護世帯は19.2%にとどまり、施政方針演説の目標を満たしていないと指摘。

 細野議員は、横須賀市の生活保護世帯の自立度のデータを示しながら、子どもが中卒なら41%、定時制高校なら57%、全日制高校なら77%であることから、子どもが上級の学校に進学すればするほど、生活保護から自立する可能性が高まるだけでなく、将来にわたって子どもが有望な納税者になりうると主張した。

 さらに、世帯分離し大学に進学した子どもが負担する授業料を生活保護費で賄えないかの点について細野議員が質したところ、生活保護を受けていない低所得の家庭の子どもとの公平性に欠ける、数十億~100億円規模の膨大な財政コストが発生するという論点が浮かび上がった。

生活保護を受けていない低所得の家庭の子どもにも支援策を拡充・整備するべき

 このような国会の論戦を受けて、駒崎弘樹氏(認定NPOフローレンス代表理事)は自身のブログで、このように述べている。

 「公平性に関しては、『より厳しい環境にある子どもに、より手厚いサポートを』という姿勢で良いのではないかと思います。生活保護水準の家庭は厳しい生活水準ですし、貧困の連鎖の鎖がより強固なものですので、そこからの脱却のためにはより支援が多くても良いのではないか、と」

 「『生活保護をもらわずに何とかやっている家庭の子ども』と比較しての公平性ですが、そうした厳しい環境でも頑張っている世帯には、給付型奨学金や収入連動型奨学金を充実させ、よりサポートをしていくべきです。『彼らも辛いんだから、我慢して』という論理は、公平かもしれませんが未来はありません」

 さらに、財源については「子どもへの投資はまさに将来返ってくる『投資』ですので、手元になければ、子どものことにしか使わない『こども国債』を発行して財源に充ててはどうでしょうか。地方へのバラマキの別名『地方創生』とかはまっぴらごめんですが、子どもたちのためなら、国債が増えるのはアリです。個人的には真っ先に購入します」と提案している。

 以上のように、駒崎氏は、生活保護世帯の子どもにも、生活保護を受けていない低所得の家庭の子どもにも、具体的な支援策を早急に拡充・整備するべきだと強調している。

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