いまだに健康被害を「思いやり」と説くJTの<上から目線>?
が、現場の省内関係者によれば、加熱たばこの受動喫煙被害に関する研究は、さほど進んでいないともいわれる。
であるからなのか、たばこ対策関連の今年1月21日付の「ニコチン依存症管理料について」と題した文書で、日本たばこ産業株式会社の小泉光臣代表取締役社長はこんな見解を述べている。
「ニコチン依存症管理料に健康保険を適用することは喫煙を病気として扱うことになりますが、その考え方を合理的に判断することは困難であり、保険を適用することは依然として疑問です」
「ニコチンには依存性があるものの、その程度は弱いことが学術的にも社会的にも認められており、喫煙者はアルコール依存症患者等と異なり何ら支障なく通常の日常生活を送っておられます」
これが自社CMで「マナー」を説く会社のボスの基本的な考え方らしい。同氏からはぜひ、場と主題を改めて、(加熱たばこ問題を含め)受動喫煙に関する見解を拝聴したくなるではないか。
そもそもJT社が謳う「思いやり」という上から目線的表明にも、「健康被害」という他者への視点が欠けているように思えてならないので――。
奈良県の中学校で教諭らが校内の空き部屋を「喫煙室」として利用
前述の嫌煙家大臣コメントから1週間と経たない10月18日、敷地内全面禁煙であるはずの奈良県大和高田市立高田中学校で、56歳の教頭を含む複数教諭らが校内の空き部屋を「喫煙室」として利用していたことが発覚した。
1階の元教員用更衣室に、灰皿代わりのバケツとパイプ椅子、空気清浄器などを置いて、休み時間や放課後に5~6人が喫煙利用していたという。
同市教育委員会は2003年夏から「健康増進法」に基づき、市立学校の施設内を全面禁止としてきた。また、今年6月には同校の校長が校舎外側に置かれた灰皿を見つけて撤去していたが、件の「喫煙室」の存在と実態は、外部の指摘があるまで知らなかったようだ。
さながらトイレで隠れて一服する中高生レベルの話だが、自ら加担していた教頭の弁は、「悪い習慣とは思っていたが、教員同士の雑談の場になっており……自分も当事者でやめられなかった」という年甲斐のなさ。
やがて迎える2020年、この国の「おもてなし」は大丈夫なんだろうか?
(文=編集部)