「長く」よりも「若く」の女性願望か?
そして、「もちろん、今後の治療の飛躍に伴なってヒトの寿命が延びるという可能性も考えられますが、そのためには、寿命を総合的に決定している多くの遺伝子変異を克服する必要が不可欠です」とVijg氏は話す。
しかも、世界事例をかんがみても、「ある人が125歳まで到達する可能性は1万分の1未満の確率」だというから、Vijg氏らの見解はかなり説得力を持つ。世界一の日本人の平均寿命でさえ、82.6歳なのだから……。
2009年のノーベル医学生理学賞を受賞したのは、「寿命の鍵を握るテロメアとテロメラーゼ酵素の仕組み」に関する研究だった。
当サイトで(アンチエイジングな朗報!? 若い頃に「ニキビ」に悩まされた人は「皮膚の老化」が遅くなる)でも触れた「テロメア」は染色体の先端部に存在し、らせん状の大切な遺伝子情報を保護するキャップのような存在だ。
このテロメアも細胞分裂の際に短くなり、その結果としての老化現象が引き起こされる。ところが生殖細胞・幹細胞・がん細胞にある3種のテロメアは例外的で、特異的反復配列を伸長させるテロメラーゼ酵素(telomerase)が働いて短くならないのだ。
そして、このヒトテロメラーゼを最初に発見した人物こそが、斯界で「不老不死の研究者」として知られているウィリアム・アンドリュース博士だ。
同氏がテロメアを安全修復させるために費やした研究の歳月は30年超、その間に発見した900超のテロメアの中で最強かつ安全なのが「TAM-818」と命名された合成物質だ。
その老化を止める物質がバックアップ企業の名を冠した「defytime cream」として製品化され、日本市場でも初のテロメラーゼ酸素配合の化粧品として発売計画が現在進行中とか。
「寿命」の話題が、最後は「若返り」に転じたが……やはり女性たるもの、125歳まで生きるよりも<1歳でも若く見られたい>のが優先であるだろうから、オチとさせてもらった。
(文=編集部)