日本は世界に冠たる長寿国 だからこそ寿命の意味をきちんと考えたい

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 WHO(世界保健機関)の『世界保健統計』(2014年版)によれば、日本の平均寿命は約84歳だった。いまだ長寿世界一の座は不動である。最長寿の男性は111歳の百井盛さん、女性は116歳の大川ミサさん。ともに世界でも最長寿である。
 
 毎年、厚生労働省が100歳以上の「百寿者」を発表しているが、データを取り始めた1963年に153名であった百寿者は、年を追うごとに増え、一昨年には5万人を超えたという。統計を見ると、百寿者は10年ごとに3~4倍のスピードで増えていることになる。
 
「人生五十年」という言葉があるが、かつて日本人の寿命は50歳というのが目安であった。この平均寿命が50歳を超えたのは1947年。それから、日本人は確実に寿命を伸ばしてきたわけである。

 では、「人生50年」といわれた江戸時代の人々の寿命はいくつくらいだったのだろう。この時代は乳幼児の死亡率が極めて高かったため、実際の平均寿命は50歳に満たなかったと考えられる。しかし、たとえば、寺院の過去帳などによれば、成人まで生きた者の平均死亡年齢は60歳代、さらに50歳まで生きた者の平均死亡年齢は70歳代で、江戸時代の人たちの寿命はそれほど短いとはいえない。
 
 ここで、江戸時代の著名人の没年齢(数え)を見てみよう。近松門左衛門72歳、尾形光琳59歳、徳川光圀73歳、上田秋成76歳、良寛74歳、滝沢馬琴82歳、葛飾北斎90歳......。『養生訓』の貝原益軒と『蘭学事始』の杉田玄白はともに85歳である。
 
 つまり、今日の平均寿命が延びているのは、医学の進歩により乳幼児の死亡率が激減しているからにほかならない。昔も今も長生きの人は珍しくないのである。
 
 それでは、人間はいくつまで生きることができるのだろうか。生物学的には寿命の限界はまだ明らかにされていないが、データの統計などからさまざまな可能性は示されている。そのひとつが東京都老人総合研究所の権藤恭之輔博士の研究である。100歳以上生きた人たちの寿命から死亡確率を計算した結果、死亡確率が100%になるのは男性では115歳、女性では122歳だという。ちなみに専門家たちが認める世界最長寿のフランス女性J・カルマンさんが1997年に亡くなったが、その時の彼女の年齢は122歳だったという。

ピンピンコロリかネンネンコロリか?

 さて、平均寿命が延びるのは喜ばしいことだが、問題はいかに健康に長寿をまっとうするかである。寝たきりにならず、介護を受けずに自立した生活を送れる期間を「健康寿命」というが、一番重要なのはこの長さである。
 2014年に厚生労働省が発表した日本人の健康寿命は、男性が70.42歳、女性が73.62歳。この年の日本人の平均寿命は男性が79.55、女性が86.30。つまり、男性は約9年間、女性は約12年間、不健康な期間があるということになる。そして、平均寿命と健康寿命の差は広がる傾向にあるのだ。

 そんなデータから、よく言われる理想的な死に方が、なくなる直前まで元気に活動するピンピンコロリ(PPK)の人生であり、その逆は、長期間寝たきりになって亡くなるネンネンコロリ(NNK)といわれる。
 
「不老不死」は人類の永遠の夢ではあるが、寿命は長ければよいというものではない。寝たきりで長生きするのも考えものである。年の瀬、寿命の「寿」の意味をもう一度、考えてみたい。

(文=編集部)

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