「片脚立ち」ができないと老化のシグナル(shutterstock.com)
近くのものが見えづらくなったり、固有名詞が出てこなかったり……。40代になり「老化の第一歩を感じる」という人は少なくない。
とはいえ、さほど不自由さを感じずに仕事や家事をこなし、日常生活を送っている人が大半だろう。
30〜40代の多くは、将来自分が「要介護」の身になるなど夢にも思っていないはずだ。ところが、筋肉量は30歳頃から減少し始め、運動をしない限り筋肉量が自然に増えることはない。筋肉がどんどん落ちていくと、最終的に「サルコペニア(心身機能の低下)」に至り、歩行障害や転倒を引き起こしかねない。
俗に<足腰の衰え>は老化のサインとして知られているが、この説が真実だったことを示す、興味深い研究が報告された。根拠なく自身の体力について過信していると、気づいた頃には後悔することになるかもしれない。
最初に衰えるのは「片脚立ち」と「立ち上がり」
米デューク大学ヘルスシステム(ノースカロライナ州)のKatherine Hall内科助教授が率いた研究によると、「年齢による肉体的な衰えのサインは50代から認められる」という。6月29日、『Journals of Gerontology: Medical Sciences』(オンライン版)に掲載された。
この研究では、成人775人(30代から100歳以上)を対象に、歩行・片脚立ち・椅子からの立ち上がりの反復などの簡単な課題を実施してもらい身体機能を評価。
その結果、最初に衰えるのは「片脚立ち」か「椅子から立ち上がる能力」で、50代から衰えが見られた。有酸素持久力および歩行速度の低下は、60~70代で認められた。
この知見から「身体能力を維持するには、生涯にわたるアプローチの重要性が強調された」というHall氏は、次のように話す。
「80歳になってイスから立ち上がれなくなるまで待つべきではない。『加齢』は『高齢』になるまで生じないと思いがちだ。それまでは機能的自立度に問題は起こらないと思い込んでしまう。この偏見は医療従事者にも見られる」