子ども医療費無料化は本当に実現する? 財政難や政策から無料化に踏み切れない自治体も!

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子育て支援の柱であるべき医療費軽減shutterstock.com

 医療費の全額または大部分を公的基金が負担する医療制度を公費負担医療(Publicly funded health care)と呼ぶ。

現在、子どもの医療費は、小学校に入学する前の乳幼児は2割、小学生以上は大人と同じ3割を自己負担し、窓口で支払う。だが、自治体は条例に基づく独自の判断と予算編成によって、医療費の自己負担を減らしている。それが、全国のすべての市区町村が導入している子どもの医療費助成制度だ。あなたの街の子どもの医療費はどうなっているかご存知だろうか?

全国自治体の57%が子どもの医療費無料化へ取り組み

 厚生労働省の調査によれば、2014年4月1日の時点で、何らかの形で医療費の自己負担を無料にしているのは986自治体(全自治体のおよそ57%)。ただし、所得制限があるため、全員が無料ではない。一方、756自治体(全自治体のおよそ43%)は、1回の診療当たり500円程度の自己負担がある。

 対象年齢は自治体によって異なる。通院の場合、中学校卒業までが930自治体、小学校入学前までが337自治体、高校卒業までが201自治体、小学校卒業までが185自治体。少子化対策や人口流出に歯止めをかけるために、自治体は対象年齢を拡げる動きが強い。

 たとえば、北海道の南富良野町は、子どもが大学生や専門学校生などに就学中ならば、通院・入院も22歳まで無料。親の所得制限も窓口の一部負担金もない。町に大学はないが、町外の大学や専門学校に通学する子どもの医療費の負担を軽くしている。

 ただし、子どもの医療費助成制度は、健康保険料の完納を条件にしている自治体が多い。会社員なら給料から保険料は天引きされるが、自営業者が加入する健康保険は、保険料を納めなければいけない。健康保険料の滞納は、子どもが医療を受けられなくなるので、支払いが厳しい場合は市区町村に相談するのが賢命だ。

 また、小児がんや心臓病などの難病は、小児慢性特定疾患対策事業による医療費助成がある。

 ところが、子どもの医療費助成は、自治体の財政事情や政策によって雲泥の格差が生まれる場合がある。東京都と横浜市を比較しよう。

 東京都全23区は、通院も入院も中学卒業まで無料。たとえば、千代田区なら独自の上乗せがあるので、通院も入院も18歳まで無料。窓口での一部負担金の支払いも、親の所得制限もない。

 ところが、横浜市は、小学3年生まで通院が無料、15歳まで入院が無料。横浜市は独自の上乗せがなく、一部負担金はない。だが、0歳児以外は所得制限があるため、親の収入が一定額を超えると助成されない。助成を受けられない子どもは、子どもがいる家庭のおよそ4割に上る。

 このような所得制限は369もの自治体で行われ、子どもの医療費助成の内容が自治体ごとに大きく異なっている。なぜか?

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