子ども医療費無料化は本当に実現する? 財政難や政策から無料化に踏み切れない自治体も!

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自治体の努力に水を差す国の助成金カット

 横浜市の20歳未満の子どもはおよそ64万人。全国の自治体の中で最も多く、しかも国からは国民健康保険の補助金を減額され、財源の確保が難しいので、子どもの医療費の窓口負担を減らしていると釈明する。

 厚労省によれば、窓口負担を無料にすれば、患者も医療費も国庫負担も増えることから、医療費を無料にした自治体に国民健康保険の補助金を多く支給しなければならず、予算を公平に配分できないので、無料化した自治体への補助金をやむなく減額していると説明する。

 つまり、補助金の減額は、子ども医療費無料化へのペナルティ、医療費が増やすな!という警告に他ならない。国の対応は、自治体の努力に水をさしているのだ。

 2016年2月25日、子どもの医療費助成制度を継続すべきか、見直すべきかを討議する厚労省の「第4回 子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」が全国知事会や全国市長会の代表者を集めて開かれた。

 子どもの医療費助成制度は、少子化対策の重要な施策であることから、「未就学児は一律無料にすべきだ」、「国民健康保険の国庫負担の減額を廃止するべきだ」などの意見がある一方、過剰受診になりかねないなどと批判する意見も根強い。検討会は、今夏にかけて意見を取りまとめる予定だ。制度改正が必要になれば、社会保障審議会・医療保険部会で具体的な議論が進められる。

 しかし、平成24年の調査によれば、17歳以下の子どもは6人に1人が年収122万円以下の家庭で暮らす。その数およそ300万人を越える。病気になっても医療機関で治療を受けられない、医療費の自己負担金を払えないために、受診を控える受診抑制の問題が起きている。

 この厳しい現実を直視すれば、結論はひとつ。全国一律の子ども医療費無料化の実現しかない。

 厚労省は、子ども医療費を無料化すれば、受診が増えて国民健康保険の負担が1700億~3000億円も増大するという大味な試算を出している。だが、全国一律の子ども医療費無料化は、保育所の待機児童の解消と同じように、子どもを安心して育てるために欠かせない少子化対策の根幹をなす最重要課題ではないのか。

 国民健康保険の国庫負担の減額を止める。国と自治体の財源分担を決める。所得制限をなくして対象年齢を拡大する。厚労省の検討会は、叡智を集約し、これらの難題に真摯に取り組んでほしい。
(文=編集部)

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