“金髪女性はおバカで尻軽”という偏見はやっぱり間違っていた!?

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マリリンモンロー幻想がいつまで続く?stockelements/shutterstock.com

 未来の人々が「20世紀の男性陣はいったいどんな女性像を好んだのか?」という興味をおぼえた場合、マリリン・モンロー主演の映画『紳士は金髪がお好き』が象徴的作品の一本として選出されるだろうことは想像に難くない。

 あの作品でモンローが扮した「愛くるしくも少しおバカな美女」の印象が刷り込んだ罪の部分も看過できない。欧米で囁かれてきた「金髪の人間はオツムが悪い」というステレオタイプ(固定観念、先入観、紋切型)がさらに定番化したのではないか。本当に金髪はおバカなのか?

金髪の女性のIQテストの結果はどうだったのか?

 21世紀に入ってもなおしぶとく遺るこの都市伝説は全くバカげた先入観で、科学的根拠乏しい伝承にすぎないことが最新の研究で明かされた。3月17日付のEconomics Bulletinに掲載されたもので、米国・オハイオ州立大学のJay Zagorsky氏らの統計学的研究による成果だ。

 分析に際しては、1980年実施のIQ検査を受けた団塊世代(baby boomers)の白人層・約1万900人のデータを対象に検証された。導き出された結果は、もともと金髪である女性の平均IQスコアが103.2。これは茶髪(102.7)、赤髪(101.2)、黒髪(100.5)よりもやや高く、古くからの巷説を覆す数値だった。

 しかし、いずれもが僅差であり、この平均数値が統計学的な有意差を示しているとはいいがたい。それでもZagorsky氏は次の点を強調して談話を添える。

「多くの方々が“金髪ジョークなんて無害だよ”と考えているようですが、当事者自身にはとっては重大な境遇差を招く可能性も否定できません。固定観念は雇用機会や昇進査定などの社会的経験に悪影響を及ぼす例が現実として多いのですから」

 確かに欧米社会で金髪女性層を揶揄するさまざまな隠語が映画の中にも頻出する。曰く、bitch(性悪女)、eazy(尻軽女)、dumb(オツムが悪い)……等々。

 こうした揶揄が育まれてきた背景には、金髪女性が「とかく優遇」されてきた歴史的理不尽さや、そこに胡坐をかいての傲慢性が生む「格差」への大衆的不満があるとみる事も可能だろう。

 ドアの開け閉めひとつ、行列店での飛び級扱い、駐車場での傲慢な割り込み行為もしらんぷり、職場での待遇以外でも生活場面での「金髪好待遇/傲慢甘受」が反発を持たれてきた欧米の歴史はそれなりに長い。「美人」で「美脚」が付加されればなおさらだろう。

性の淘汰場面では青い瞳の金髪女性こそ最優位

 地球上の金髪比率は1.8%といわれる。いわゆる突然変異(色素欠乏症)で発生するブロンドは欧州圏内で多く、カナダの人類学者ピーター・フロスト氏が2006年のEvolution and Human Behaviorに寄せた知見によれば「最終氷河期の終わりに金髪人種が急増した」とか。

 その理由は「性の淘汰」とされ、乏しい男性層をめぐる熾烈な配偶者獲得競争時に際し、青い瞳と同様に金髪女性層が優位に立てたからという見解だ。

 今回の研究では髪の色と知性に遺伝子的関連があるのかどうか、そこまでは判明していない。が、金髪系の人々は他の髪色の層に比べ、「多くの本がある家庭」で育ってきた可能性が読み取れたという。とって付けたような分析までついている始末。

そんな知見を後ろ盾にZagorsky氏はこう締めた。「ですから知性の面において金髪の人々を差別すべきではないですよね。その強力な証拠を提供できたかと私たちは想っています」。

 いやはや、「金髪はつらいよ/逆襲篇」的な今回のお話し。はたして、金髪クロニクルを塗り替える根拠となるのやら。

 掲載が医学雑誌ではなく経済誌、しかもそれほどインパクト係数の高くないジャーナルであることも考えると、実は金髪美女大好きの学者が思いついた統計的なお遊びに、これまた金髪好きの編集者が乗ったか?

 ところで新社会人や新入生の歓迎式典が盛んなこの時期、今回の知見に影響されて“金髪入社”や“金髪入学”を目論むなんて馬鹿なことは考えないように。一発アウト!ですから。
(文=編集部)

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