日本人の「オレ流」が最もタチが悪い
「外国人客はアジア系でも進んで着用するけど、むしろ日本人の安全意識が薄い。真ん中に挟んだ子どもが立って前方の景色を観てても平気で放置している親なんか最悪ですね。助手席に父親が乗って、膝の上に子どもを抱いたりしたら、さすがに遠慮してもらいますが」
都内では喫煙懇願派の客こそ霧散したものの「オレの流儀でシートベルトはしない」とかの理不尽な着用拒否派が「いまだ絶えない」と運転手さんは苦笑していた。一方、シートベルトの構造自体が扱いづらく、「したくても着用できないお客さんが結構いる」そうだ。
こと妊婦に関しては道交法改正後も例外扱いとされているが、不測の事態下で着用/非着用が大きく明暗を分ける事実は過去記事でも何度か触れてきた。
警視庁のHP上でも妊婦の場合、「腰ベルトは腹部のふくらみを避け、腰骨のできるだけ低い位置を通す」などの着用法がイラスト図解入りで紹介されているので参照されたい。
件の改正では、バスの乗客もシートベルトが装備されている車両については着用義務の対象になった。日本バス協会なども着用を促すアナウンスやステッカー表示で訴求してきたが、利用客間の哀しい現実をまざまざと痛感させたのが1月15日の軽井沢スキーバス転落事故。
死亡者15人の大半が非着用で明暗を分かつ一部要因だったのでは、と報じられた。
こうした声や指摘を受けて国交省では警視庁ともども、日本バス協会傘下会員間の周知・徹底化を要請。目視確認に加え、常時着用に備えてシートベルトを座席に埋没させない、座席ポケットにリーフレット類を置いて注意喚起を促すなどの具体策を求めている。
しかし、具体策ならば、肝要なのは利用者側(自家用車ならば家族や知人)ひとりひとりが安全(危機)意識を持って「乗るなら締める」が常態化することだろう。
高齢運転者の逆走行為や若年層の暴走もらい事故などが頻発している昨今、「大丈夫、交通安全運動の期間中だけは守るから」なんて苦笑いしている向きは時代錯誤ですぞ。
(文=編集部)