2008年6月の道交法改正で「後席もシートベルト着用」も義務化されたが(shutterstock.com)
今年も『春の全国交通安全運動』(4月6日~15日)の季節が近づいてきた。内閣府が掲げる2016年の運動基本は「子供と高齢者の交通事故防止」、重点は下記の3本柱である。
①自転車の安全利用の推進(特に自転車安全利用五則の周知徹底)
②後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
③飲酒運転の根絶
うち②については日本自動車工業会(自工会)も連動キャンペーンを展開。4輪運転手には「後席もシートベルト」、2輪ライダーには「あごひも、しっかり、ヘルメット」のスローガンを訴求する。
さらに今春の自工会は、いがらしみきお氏の人気4コマ漫画『ぼのぼのと仲間たち』の登場キャラを起用して期間アニメを制作。専用webサイト上や屋外大型画面、高速のSAや東京・大阪のタクシー車内でもモニター放映するほどの熱の入れようだ。
2013年以降は頭打ちの後席着用率
その背景には2008年6月の道交法改正で義務化された「後席もシートベルト着用」の周知・徹底が近年は頭打ちになったことが挙げられる。
昨秋、JAF(日本自動車連盟)と警視庁が組んで行なった『シートベルト着用状況全国調査』でも、下記のようなお寒い実態が明らかにされた点があるだろう。
同調査によれば、一般道での後席着用率は35.1%。運転席が98.4%、助手席が94.6%に比べると後席利用時の安全意識の低さは歴然だ。
しかし現実は、2015年中の後席乗車中死者152人のうち、非着用者は105人(約69.1%)。その30.5%に当たる32人は、車外放出で死んでいる。
一方、高速道路(含む自動車専用道路)上の後席着用率は71.3%(前年70.3%)と、2002年の調査開始以来最高の好成績を記録。一般道(35.1%)との意識差が浮き彫りになった。そんな話題を先日乗車した法人タクシーの運転手にふってみたら、彼はこう返してきた。
「なるほど、納得の数字ですね。実車ボタンを押すと着用ガイドの音声も一応は流れるんですが、一番多い反応は『後ろはいいよね』とか『近いから』とかしない人の言い訳」