ぎっくり腰の原因を防ぐポイントは腰の骨を丸めないこと
shutterstock.com生きていれば、毎日さまざまな動作をする。立ったり、しゃがんだり、歩いたり、ものを持ち上げたり......。その動作を適切に行わないと、動作のたびに腰に負担をかける。
なかでも「ぎっくり腰」のきっかけになる動作がいくつかある。そういう動作をする際に、ちょっとしたコツを知っておくことで、腰への負担を軽減し、ぎっくり腰になる可能性を大幅に下げることができる。
ぎっくり腰になる動作は、物を持ち上げようとした瞬間、くしゃみをした瞬間、パソコンのモニターに身を乗り出したり、歯磨きの際に洗面台の上にかがんだ瞬間、うがいをしようと顔を上に向けた瞬間、呼ばれて振り返ったとたん......。
要するに、前や後ろや横に体を曲げた状態で、ぎっくり腰が起きる。腰を曲げた状態で行う動作が、最も腰に負担をかけるということだ。背骨(脊椎)の中でも、腰痛の原因となりやすい第4腰椎、第5腰椎は、曲げ伸ばしされる部分である。そのため、スムーズに動きやすいよう骨格組織が少なく、構造的にもろく、しかも大きな動きを求められる。
物を持ち上げるときに、ぎっくり腰にならないコツ
最初に、物を持ち上げるときのポイントを紹介しよう。
まずは、腰を曲げた状態で、荷物を持つなどの負荷のかかる行動を絶対にしないこと。たとえば、荷物の位置を直そうと、そのままの状態で上半身だけ振り向くのは危険だ。荷物を持っているときは、足を踏みかえて、全身で振り向こう。
床などの荷物を持ち上げるときは、まずはしゃがんで、できるだけ荷物を体に引き寄せてから、そのままそっと立ち上がろう。荷物をおろすときも、できるだけ荷物は身体から離さずに、引き寄せた状態を保とう。しゃがむときも、立膝にしたり、足を前後にして腰の後ろをまっすぐにすることを心得よう。中腰の姿勢のときは、腰が丸くならないよう、バレーボールの選手がレシーブするときのような、背筋をまっすぐにした姿勢を心がける。
高いところにある荷物を取るときは、反った姿勢で行うのは危険。面倒がらずに踏み台や脚立を持ってきて、背を反らさずに取れる高さで行おう。
要するに、腰の後ろをまっすぐにして、背骨を反ったり丸くしないこと。これが腰痛を防ぐポイントだ。と言われても、自分の腰を背中から見ることができないので、ピンと来ないかもしれない。
まずは両足を揃えてしゃがみ、腰の後ろを触ってみよう。腰が丸くなっていることがわかるだろう。背中側の筋や骨が伸ばされて、腰にテンションがかかった状態だ。この姿勢で重いものを持つと、ぎっくり腰になりやすい。次に立て膝の姿勢で、腰の後ろをさわってみよう。腰がまっすぐであることがわかるだろう。この姿勢なら腰へのテンションが少ないため、物を持ち上げるときの腰への負担が大幅に軽減する。
くしゃみや身を乗り出す時に腰を守るコツ
くしゃみがきっかけでぎっくり腰になる人は多い。また腰痛持ちは、くしゃみが出る花粉症の季節が怖い。普段の呼吸が時速10〜20kmに対して、くしゃみの時速は50〜60kmとのこと。普段の呼吸の5、6倍で、口から勢いある息が飛び出る衝撃は、腰に響く。
くしゃみは不意打ちのため、なんともしようがないと思いがちだ。しかし、くしゃみが出るとわかってから、実際に出るまで、一瞬の間はある。その間にすべきことがある。
膝を軽く曲げて、膝に手をつき、腰を伸ばした状態で、できれば壁に背中をつけよう。この姿勢なら、腰が曲がった状態で負担がかかるのを防ぐことができ、くしゃみの衝撃を壁に逃すことができる。ここまで余裕がなくても、膝を軽く曲げて、膝に手をつくだけでも、無防備にくしゃみをするよりもはるかに負担が少なくなる。
くしゃみだけでなく、椅子からパソコンの画面に身を乗り出すとき、洗面台に身を乗り出すときなども、片手でもいいから必ず手をついて、腕でも自分の体重を支えるようにしよう。