座りっぱなしで1時間が経ったら2分の歩行を心がける!
shutterstock.com1日に何時間ものデスクワークで、座りっぱなしのことが多い現代人――。
長時間座り続けることは、糖尿病、心臓病、肥満などのリスクがあり、寿命を縮める可能性があることが、これまでの研究で明らかにされている。厄介なのは単に運動不足の問題ではなく「長時間座る生活」そのものが、こうした健康被害を生むことだ。
それをふまえて最近は、イスに座らないスタンディングデスクや、タイピングしながら歩くトレッドミルマシンなどの効果を実証した研究もある。
しかし、人によっては生産性の低下や身体の故障を招く場合もあり、全ての人に推奨できる解決策とは言えない。
「じゃあどうすれば......」と困惑するデスクワーカーに朗報だ。米・ユタ大学が、アメリカの健康栄養調査のデータを元に「1時間ごとにほんの2分間立って歩き回るだけで、座りっぱなしの健康リスクを帳消しにできる」という研究結果を発表したのだ。
こまめな歩行や家事が寿命を延ばす
今回、ユタ大学などの合同研究チームは、毎年、アメリカ人の飲食量・運動量などを調査する「全国健康栄養調査(NHANES)」のデータを利用した。NHANESでは、一部の参加者に運動の強度を計測する加速度計を装着させており、3626人の成人男女のデータからそれぞれの運動量を分析。3年間の追跡期間中に137人の死亡が確認された。
この数字を元に、時間当たりの活動量と死亡率の関係を割り出したところ、「ただ立っている」程度の軽い運動は、死亡率に対する影響が確認されなかった。しかし歩行や掃除、ガーデニングなどの軽い運動を短時間行うと、1日の半分以上を座って過ごしている場合でも、死亡率が低下していることがわかった。
さらにデータを精査すると、座って過ごす1時間につき2分間を、立って軽く運動する時間に置き換えるだけで、ずっと座り続けていた人に比べ死亡リスクが33%も低下することが分かったという。
ユタ大医学部のSrinivasan Beddhu氏は、「今まで健康のためにもっと強いエクササイズが推奨されてきた現状を考えると、これだけ軽い運動が死亡率の低下に結びつくという結果は興味深い」と述べている。
さらに「1時間につき2分間の歩行によるメリットは、毎日の積み重ねとして蓄積される。このウォーキングをベースに、週末を利用して2.5時間ほどの無理のないエクササイズを組み合わせれば、さらに理想的」という。
この健康法の最大の利点は、誰にでも無理なく実践できることだ。1時間ごとに立ち上がって2分間だけ周囲を歩きまわるだけなら、さほど大変なことではないだろう。時間を忘れさえしなければ、職場でも家庭でも「ながら」歩きで簡単に実行できる。
今からでも、さっそく始めてみてはいかがだろうか?
(文=編集部)