うつむきがちの姿勢で「スマホ巻き肩」に shutterstock.com
肩の周りがだるい、首が凝る、腕が上がらない、めまいがする、頭が痛い、腰痛がある......。こんな症状を自覚しているあなたは、「スマホ巻き肩」かもしれない。
スマホ操作をするときに陥りがちな姿勢を長時間続けることで、神経が圧迫されたりして、これらの症状が表われている可能性がある。
悪化すると、肩のあたりに激痛が走り、洋服を着ることができない、トイレでお尻が拭けない、あるいは、就寝中にわずかに肩が動いただけで激痛で目が覚める、といった「五十肩」のような症状まで起こることがあるという。
ちなみに「五十肩」は、主に40歳以上に見られ、肩の筋肉や腱が炎症を起こし固まってしまうもの。1年ほどで解消するが、原因は不明だ。加齢にともなう症状とされ、最近は「四十肩」ともいうようだ。
しかし、「スマホ巻き肩」が原因の症状ならば、「五十肩」のように放っておいて治ることはない。「姿勢」を改善しなければ、症状は解消しないのだ。
頭部を前に倒すと、筋肉や神経に支障がでる
「スマホ巻き肩」は、猫背で両肩が内側にねじれている状態である。スマホを操作しているときになりやすいのでこのように呼ばれるが、実はパソコン操作でも起きやすい。
ネコは四足歩行なので猫背でも肩が凝らないが、二足歩行のヒトはいろいろな支障がでてくる。これはひとえに、人間の頭部が大きいからだ。ためしにネコのように、四つんばいになって、動き回ってみよう。頭が重すぎて首が疲れ、前につんのめってしまうだろう。
400万年より昔、類人猿だった人類の祖先は、2本足で立つことを選んだ。そのことが、4本足よりも頭が大きく重くなる可能性を開いた。そして実際、自由になった両手を使うことで知能が発達し、脳が大きくなったといわれている。
人間の頭部は体重の約10%。50kgの体重ならば5kgもある。この重さを支えているのが、首の骨とそれにつながる背骨だ。真横から見ると「逆S字」を描き、ゆるやかにカーブしている。特に首の部分だけ見ると、「逆くの字」にカーブしている。これで、頭の重心を後方にしてバランスをとっているのだ。
ところが、姿勢が崩れて頭が前に傾くと、この「逆くの字」がまっすぐになってしまう。首の筋肉にストレスがかかり血流は低下し、肩凝りや頭痛を引き起こしてしまう。さらに前傾すると猫背に、そして「巻き肩」となって肩の神経も圧迫する。
美しい所作でスマホ巻き肩を解消しよう!
そこで、巻き肩による不具合から解放されるには、頭を前に倒さないように姿勢を保つことだ。スマホを操作するときには、なるべく高い位置に持ってきて、顎が下がらないようにしよう。
電車の中で、座った膝の上で操作している姿を見かけるが、首、肩にストレスがかかる。顔の前ぐらいまで持ち上げよう。パソコンならば、キーボードをなるべく体の近くに置くようにするとよい。
そして重要なのは、猫背にならないこと。両腕を後ろに引き、背中の肩甲骨の間を狭めると背筋が伸びる。こうすれば自然に頭の重心も後方に移り、巻き肩も解消されるはずだ。
なにより、背筋がすっきり伸びていると、姿勢が美しく見える。スマホは外出先で操作することも多いから、自分が思うより周囲には姿勢がだらしなく映っていると心得よう。姿勢を正せば「スマホ巻き肩」が解消される上、所作も素敵に見えるのは、うれしい一石二鳥である。
(文=編集部)