インフルエンザのヒミツに迫る! 第4回

インフルエンザワクチンの効果はほんとうはどのくらいあるのか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
shutterstock_115840963-2.jpg

ワクチンの効果は約70% shutterstock

 厚生労働省によれば、インフルエンザワクチンはウイルスによる感染や発症を抑えることができる一定の効果が認められ、特に基礎疾患のある人や高齢者の肺炎による合併症、小児の脳症の重症化を予防する効果があるとしている。

 特に、65歳以上の健常な高齢者の約45%の発病を緩和し、約80%の死亡を阻止するのに有効だ。0~15歳では1回の接種で68%、2回の接種で85%、16~64歳では1回の接種で55%、2回の接種で82%の発症を予防するという。

 ワクチンは、その年の冬に流行すると予測される型に基づいて製造されるので、予測がはずれると効果が薄れる。また、たとえワクチン接種をしても、ウイルスが突然変異を起こした場合や、ウイルスが侵入する鼻腔内粘膜や上気道の抗体が弱いために、その効果が期待できない場合もある。

 しかし、ここ数年の予測精度が上がり、感染や発症は防げなくても重症化や合併症の発生は防ぐことは実証され、その効果は概ね70%まで高まっている。

 現在、日本で用いられるワクチンは、ウイルスを発育鶏卵に接種し、増殖したウイルスからHA(赤血球凝集素)だけを取り出して製造する「不活化HAワクチン」だ。

 免疫を作るための必要成分だけを抽出する不活化HAワクチンは、ウイルスの病原性が失われているので、インフルエンザの発症を抑制することができる。また、不活化HAワクチンは、毎年、ウイルス流行の型を6月頃に予測したうえで、約6ヶ月かけて製造される。まずウイルス粒子をエーテルで処理し、発熱物質などになる脂質成分を取り除き、次に免疫に必要な粒子表面のHAを含む成分を密度勾配遠沈法によって回収する。

 密度勾配遠心法とは、粒子の大きさや密度に大差がないために、分画遠心法では成分が分離できない場合に用いられる遠心分離法で、HAを含む成分を効率よく回収することができる。

ワクチン接種率は低下している

 日本のインフルエンザは例年12月~3月頃に流行し、1月~2月頃がピーク。ワクチン接種の効果が出るまでに2週間程度かかるので、早めにワクチン接種を終えたい。
 
 ワクチン接種の効果については様々な議論があるが、日本では1994年に定期予防接種から除外されて以来、接種率は低下している。

 日本のインフルエンザワクチンは、「定期予防接種二類」に分類され、65歳以上の高齢者の他、60〜65歳で心臓、腎臓、呼吸器の機能に障害がある人、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能に障害がある人は、本人の希望があれば接種することができる。その他の年齢は、任意接種だ。

 今シーズンのワクチンの供給量は、平成26年6月末日現在、約6844万回分を供給予定だ。最近の実績から判断すると、供給量は十分と見込まれている。年齢によって接種量と接種回数は、次のように決められている。

①6カ月以上・3歳未満の人=1回につき0.25ml/2回接種
②3歳以上・13歳未満の人=1回につき0.5ml/2回接種
③13歳以上の人=1回につき0.5ml/1回接種

 接種を受けるときは、各市町村(保健所・保健センター)、医療機関、かかりつけの病院などで予約をしてから受診することになる。

 ワクチン接種は、原則的に全額自己負担だ。費用は医療機関によって異なるが、1回当たり約3000~4000円が目安。予防接種法に基づく定期接種の対象者は、市町村の公費負担がある。

 なお、ワクチンを接種した局所に、赤み、はれ、痛みなどの他、全身の発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などの副反応が生じる場合があるが、通常は2~3日でなくなる。発疹、じんましん、赤み、かゆみ、呼吸困難などのアナフィラキシー症状が現れる場合もまれにある。接種後30分間は接種した医療機関内で安静にすることが大切だ。万一、副反応が生じた場合は、予防接種法に基づく救済がある。
(文=編集部)