2014.07.01

【病気の知識】胃腸と肛門の病気・消化管ポリープ

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 腸管の内側表面からイボ状に突出した隆起性の病変を総称したもので、特に「大腸ポリープ」は多く見られ、便潜血検査で陽性の場合は内視鏡検査を受けてほしい。無症状でも、親族に患者がいる場合は定期検査を受けよう。

●どんな病気

 粘膜や皮膚の表面に起こる球状、もしくはキノコ状の腫瘤をポリープと呼ぶが、消化管のポリープは腸管の内側表面からイボ状に突出した隆起性の病変を総称したものだ。一般的には胃と大腸(結腸、直腸)のポリープが問題となることが多いのだが、胃ポリープの発症例はわずかで、大腸ポリープが多く見られる。

◯大腸ポリープ
 大腸ポリープは腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに2分され、腺腫、がん、カルチノイド、過形成性ポリープ、過誤腫、粘膜下腫瘍、炎症性ポリープ、若年性ポリープなどに分類される。大腸ポリープの約8割が腺腫といわれる良性の腫瘍性ポリープだが、これは潜在的にがん化する悪性度を持っている。大腸ポリープは大きくなる(1センチ以上)に従い、がん化することが多い。
 ポリープは大腸全体に比較的均等に分布しており、特異的に発生する部位はない。腺腫のがん化率は管状腺腫で20%、絨毛管状腺腫で72%、絨毛腺腫で80%であったとの報告がある。過形成性ポリープは大腸で最も多いポリープで、その大部分はポリープではなく平坦な形態を示す。また、炎症性ポリープは潰瘍性大腸炎などに罹るとできやすく、子どもにできる若年性ポリープとともに、がん化の心配はまったくない。

◯胃ポリープ
 胃の広義のポリープは胃腺腫と狭義のポリープに分類され、狭義のポリープに過形成性ポリープ、胃底腺ポリープ、中村分類のII型ポリープがある。胃のポリープは9割以上が過形成性ポリープで、がん化することがほとんどない。また、胃底腺ポリープもがん化することはない。過形成性ポリープは、胃粘膜の上皮の一部が過形成を起こすことによりできるもので、血管が豊富で赤い色をしており、ほとんどが悪性のものではない。しかし、ポリープが2センチを越える大きさになると、一部に悪性細胞を伴うようになることがあり、また出血の原因となる。一般に高齢になるとポリープが増加する傾向が見られる。胃腺腫は良性腫瘤の代表的なものだが、異型度の低い早期がんが混在する場合があり注意が必要だ。

●どんな症状

 ポリープは無症状のことがほとんどだが、出血による貧血を認める場合もある。大きくなると腸閉塞の原因になったり、ポリープを食物と間違えて腸の肛門側に蠕動運動で押し込まれ、腸重積と呼ばれる状態になることがまれにある。

●どんな診断・検査

 消化管ポリープの診断・検査には、以下のようなものが挙げられる。

◯便潜血反応検査
 便の中にわずかでも血が混じっていないかどうかを診る検査。口から肛門までの消化管のどこかに、ある程度の出血があれば陽性になる。ポリープは無症状のことが多いので、自覚症状がなくても便潜血検査で陽性となった場合は、消化管の内視鏡検査を受けるべきだ。また、便潜血が陰性の場合でも、大腸がんやポリープが全くないということではない。

◯大腸内視鏡検査
 肛門より大腸ファイバーを、直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸まで挿入する。ファイバーからの映像はモニターテレビに映し出される。検査時間は、大腸の長さや捻れ、開腹術による大腸の癒着などによるが、およそ10〜15分程度で終了する。ただし、ポリープの切除や生検(粘膜をつまむ検査)などで時間がさらにかかることもある。内視鏡で観察する際に内視鏡から空気を注入して腸管を広げで観察するので、おなかが膨れた感じになる。

◯胃内視鏡検査
 口から胃ファイバースコープを挿入し、食道、胃、十二指腸を観察する。スコープより空気を腸管内に注入して、粘膜を観察する検査。必要によりポリープの切除や粘膜をつまんで病理の検査を行う。

◯大腸の造影検査
 バリウムを肛門から注入して大腸をエックス線写真に映し出す検査。腸管を膨らませて粘膜面をきれいに描出させるために空気を注入するので、おなかが張った感じになるが、検査を終了する時にバリウムや空気は可能な限り抜き取る。

◯食道・胃・十二指腸の造影検査
 バリウムを飲んで、食道、胃、十二指腸をエックス線で映し出す。発泡剤を内服して、腸管を膨らませ、より鮮明な撮影を行う。

●どんな治療法

 大腸ポリープで治療が必要なケースは、一部に悪性細胞を認めた場合と、良性でも出血の原因になっている場合、また、がん化する傾向がある場合、ポリープを切除する必要がある。大腸ポリープは大きくなるにしたがい、がん化する傾向があり、5ミリ以下のものはその頻度はかなり低く、6〜10ミリの大きさになると、数%にがんが合併するようになる。この程度のものは早期がんで発見されることが多く、内視鏡を用いて切除することが可能だ。多発しているポリープほどがんを合併していることが多いので、見つかったポリープは可能な限り切除する。また、10ミリ以上のものも内視鏡を用いて、できる限り切除する。
 胃ポリープの治療が必要なケースは、一部に悪性細胞を認めた場合と大型で出血を起こし貧血の原因になっている場合である。生検(粘膜の一部をつまんで顕微鏡で見る病理検査)で細胞の異形性が増加したり、形態の変化が認められた場合は、ポリープの切除を行う。現在は内視鏡検査を行いながらポリープを切除できるようになった。これは、スネアと呼ばれるループ状の針金をポリープの頸にかけ高周波電流で焼き切る。また、粘膜の下に生理的食塩水を注入して粘膜を持ち上げ、粘膜を切り取る粘膜切除術を施行する場合もある。さらに、粘膜を吸引して筒の中に吸い込み切除する方法もある。これらの方法は胃でも大腸でも同じように行うことができるので、以前のように開腹手術を起こなうことはまれになっている。

●どんな予防法

 ポリープが増殖したり異常を起こす原因は現在のところ解明されていないので、予防方法も確立されていない。ただ、腺腫の中には明らかに遺伝的性質が認められるものがあるため、家族、親類に患者がいる場合は定期的に検査を受けたほうがいい。

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