10代後半から30代くらいに発症する人が多い病気です。人口の0.7%にみられ、1.4:1で男性に多いと言われています。脳の神経細胞のネットワークに何らかのトラブルが生じることによって起こる病気と言われていますが、原因はまだ明らかではありません。
幻覚のうち、統合失調症で一番多いのは幻聴です。「お前はダメだ」と批判的な内容、「出て行け」と命令するような内容、「食事をする気だな」と監視しているような内容のものがよく知られています。
妄想も、「誰かが自分を監視している」「操られる」「敵が自分を襲おうとしている」などと被害的な内容のものが多く、とてもつらいものだと聞きます。
幻覚や妄想の主は他人(実在の場合と対象が明らかでない場合とあります)で、自分に対して悪い働きかけをしていると自覚するようです。幻覚も妄想もご本人には真実のこととして認識されるので、怖くてたまらないのに無視することができず、幻覚や妄想に行動が支配されてしまうことがあります。
活発な幻覚や妄想は治療により落ち着いても、生活しづらさが残ります。意欲や気力が続かない、疲れやすい、覇気がない、理解や要領が悪い、忘れっぽいなどの症状のために、仕事が続かなかったり対人関係がうまく行かなくなったりして社会性が低下し日常生活の維持に支障を来すことがあります。
統合失調症を見つけ出す特別な検査は、今のところありません。診断は問診で行います。ご本人がつらく感じている症状と、周囲の心配している問題点がずれることがあるので、ご本人だけでなく関係者にもお話をうかがいます。
食欲不振や頭痛、動悸などの身体不調がある場合や、安全な薬物療法のために血液検査や脳波検査、心電図検査などを行います。
急性期は薬物療法と十分な休養を優先します。自宅療養が難しい場合は入院治療も考えます。薬物療法は抗精神病薬とよばれる薬がメインになります。
急性期の症状が落ち着いてきたら、精神療法やリハビリテーションを導入していきます。薬物療法は継続します。統合失調症に対する理解を深めることも大切です。病気や症状、お薬について学び、規則正しい生活を心がけ、ストレスに対する抵抗力を身につけることも役に立ちます。
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