肘や膝の皮下や膝蓋腱・アキレス腱・指伸筋腱(手の甲の腱)の周囲に脂肪の黄色をした塊ができて成長していく状態を黄色腫と呼びます。肘や膝、手の甲は動作でぶつかったり擦れたりする刺激を受けやすい部位です。生活習慣病や遺伝要素、体質などによる高脂血症があってできる場合と、高脂血症はないのにできる場合があります。
高脂血症では、四肢だけではなく全身のいろいろな臓器に黄色腫が見られます。皮膚、瞼などに粟粒発疹様や扁平な形で見られます。1つ1つの小さな黄色腫が隣り同士くっつくと複雑な形に見えてきます。高脂血症のタイプや遺伝子によっては特定の場所に特定の黄色腫が見られ、逆にその所見から高脂血症の存在を診断できる場合があります。黄色腫が原因でアキレス腱周囲炎を呈する場合には、安静にも関わらず徐々に肥大(腫れの悪化と見える)する傾向や、ステロイド剤で効果がないなどの特徴があります。
通常は痛みのない柔らかなふくらみとして見えます。太った方では腫瘍部分と通常の部分で差が少なく、わずかな手触りの差でしかない場合があります。皮膚表面では淡い黄色のわずかな粒上のでっぱりと見えます。これは癒合して地図状になります。
皮膚所見の視診、皮下の触診、腫瘍の部位と成育経過で診断されます。皮下や腱の周囲の場合には超音波エコー検査で見える場合があります。確実な診断には一部を切除して病理検査が必要ですが、通常「生検」を行うケースは少ないでしょう。
皮膚や腱鞘周囲の黄色腫は通常痛みがないため、治療として切除することは殆どありません。大きな腫瘍が美容上で目立つ場合や部位的に邪魔になる場合には手術で切除縫合したりレーザーで蒸散する場合があります。顔面や瞼の場合に適応となります。
原因となっている高脂血症(コレステロール、中性脂肪)のコントロールにつきます。高脂血症が正常化されると黄色腫は生育がゆっくりとなり、または多少縮小する場合があります。
高脂血症のない黄色腫は美容上の問題がなければ経過を見てゆきます。家系的に高脂血症のある場合には、若年のうちから高脂血症のコントロールが必要です。10才台で発症し黄色腫をみるタイプもあるようです。学童検診でも糖尿病などと一緒にスクリーニングする時代になりました。高脂血症は生命に関わる病状です。健康診断、標準体重の維持、適度な運動などに留意しましょう。
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