世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法

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HIVに対する予防策 PrEPとPEP

 ワクチン以外の予防策はないのかと尋ねると。
「日本ではあまり行われていませんが、当院ではHIVに対する曝露前予防(PrEP :Pre-Exposure Prophylaxis)も行っています。これはHIV感染のリスクが非常に高い場合やセックスパートナーがHIV感染者である場合など、毎日、抗レトロウイルス薬(HIVに対する治療薬)の内服行い、HIVの感染を予防する方法です。2012年に世界で初めてアメリカで承認され、以来カナダやオーストラリア、台湾、韓国などでも承認され、海外ではPrEPの導入と普及が広がっています。さらにHIVに対する予防策として曝露後予防(PEP :post exposure prophylaxis)という方法もあります。HIVに感染したかもしれない疑いがある性行為や医療事故の後、72時間以内に抗レトロウイルス薬の内服を開始し、HIVに感染するリスクを低下させる予防策です」

 つまり性交渉をする前から薬を飲むのがPrEP、性交渉をした後に薬を飲むのがPEPだ。

「性感染症の予防には俗説も少なくなく、性行為後にコーラやイソジンで消毒すると大丈夫などといわれますが、皮膚を傷つけかえってそこから感染する可能性が増えます。そうした乱暴で根拠のない予防策は控えてほしいものです。

 日常生活での基本的な予防法としては性行為におけるコンドームの使用、さらにフェラチオやキスも避ける必要があります。梅毒、のどの淋病やクラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、場合によってはB型肝炎も口腔感染がありえるからです。不特定多数と交わったり、不特定多数と交わっている人と交わったりするのも危険です」(内田院長)

性感染症の検査に保険適用の限界

 感染を疑った場合にはどうしたらいいのか。毎日性感染症と向き合っている現場の実態はどうなっているのだろうか。
「来院される方は男女別では男性が8割、女性が2 割、年代別では女性が10代から50代、男性は10代から80代までと幅広くなっています。何らかの症状がある場合も感染を心配されている方もほとんどの性感染症の検査と治療が可能ですが、保険診療の場合は限界があります。例えばクラミジア保険診療では性器とのどを同じ月内には検査できないのです。それでは感染の状況を確定できないため、当院では、尿も膣も肛門も当日か翌日に結果判明するシステムになっています。また淋病、トリコモナスやHIVの検査も即日で可能です。検査結果はWEB、電話で確認できます。また、マイコプラズマやウレアプラズマの検査はいまだに保険適用になっていません。そもそも症状がない人には性感染症の検査は保険適用にならないのです。少しでも早く確実に感染の有無を判定できるように当院は自由診療です」と内田院長はその現状を説明する。

「性感染症にとって無症状だから来院を躊躇うのはいちばん危険です。知らないうちに重篤化する可能性があります。またパートナーへの感染を心配するのであればきちんと調べるべきだとおもいます。性感染症の病原体は外部から持ち込まない限り自然発生しませんから、お互いに納得して一緒の検査に受けに来るカップルや結婚前のブライダルチェックの一つとする方もいます。 
 ただ、医療機関としては、あくまでも科学的に判断することが仕事ですので、感染が判明した時に『性欲が強すぎるのですがどうしたらいいでしょう』とか『相手にどう伝えればいいのですか』などのご質問を受けることもありますが、患者さんのプライベートには積極的には関わらない方がいいと考えています。それぞれの人間関係が助言によって変わってくるためです」と性感染症の診療には個別性や人間関係にかかわる難しさもあるとする。

 いずれにせよ性感染症も予防と早期発見早期の治療が重要だ。どうしても来院を躊躇う場合はオンライン性病検査・診療もあり、「性病1分間チェック」(https://www.aozoracl.com/check)などから始めることも可能だ。
 また、現在新型コロナウイルスに関する抗体即日検査、抗体精密検査(2~4日で結果が判明)、PCR検査(唾液検査、2~4日で結果が判明)も可能だという。

※性感染症について詳しく知りたい
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/index.html
公益財団法人性の健康医学財団
https://www.jfshm.org/
政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201712/3.html

性感染症の自宅検査に興味がある

内田千秋(うちだ・ちあき)

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市生まれ。96年、東京医科歯科大学を卒業し、同大第二外科入局。癌研究会附属病院、東京都立墨東病院、東京都多摩がん検診センターなどに勤務後、2013年、「あおぞらクリニック」を開業し院長。日本性感染症学会会員、日本エイズ学会会員、日本性機能学会会員、日本抗加齢学会専門医ほか。趣味は「猫」(フェイスブック「ネコっていいね!倶楽部」主宰)。

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世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

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毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

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