シリーズ「あの人はなぜ死に急いだのか?スターたちの死の真相!」第9回

坂口良子の最期 横行結腸がんに侵され57歳の若さで永眠

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最大のリスク要因は喫煙! 飲酒、肥満、肉の過剰摂取も赤信号

 大腸がんのリスク要因は、飲酒、肥満のほか、赤肉(牛・豚・羊の肉)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の過剰摂取が大きい。ヘテロサイクリックアミン(肉や魚を強火で調理した時に焦げた部分にできる発がん物質)やニトロサミン(食べ合わせにより体内で生成される発がん物質)なども原因になる恐れがある。

 また、高身長の人のほか、直系の親族に家族性大腸腺腫症とリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸がん)の罹患者(家族歴)がある人ほど発症リスクが高まる傾向がある。

 リスク要因のうち特に「喫煙」は、世界中の疫学研究の成果をまとめた国際がん研究機構(IARC)の2009年の評価によれば、大腸がんを発症する確実なリスク要因とされている。

 大腸がんのリスクを下げる要因は、適度な運動習慣のほか、食物繊維、緑黄色野菜、にんにく、牛乳、カルシウム、葉酸、果物、セレン、魚などをバランスよく摂ることだ。

 大腸がんは、大腸がん検診による早期発見が早まるほど、治癒率が高まるので、40歳を過ぎたら大腸がん検診を年1回受けたい。大腸がん検査は、便に血液が混じっているかどうかを検査する「便潜血検査」、大腸すべてを内視鏡で観察する「全大腸内視鏡検査」がある。

 「便潜血検査」は、がんやポリープなどによって出血した便の血液を検出する検査だ。結果が陽性ならば、その原因を明らかにする精密検査を行う。検査精度は、やや劣るが、安全、簡単、安価で、一度に多くの検査が実施できるメリットがある。最も信頼性の高いRCT(無作為化比較対照試験)で効果が実証されている。

 一方、「全大腸内視鏡検査」は、内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸の全部位を撮影し、がんやポリープなどの病変がないかを確認する検査だ。必要に応じて、大腸の粘膜の細胞を採る検査を行い、悪性かどうかを病理学的に診断できる。大腸すべてを内視鏡で観察するので、がんやポリープに対する診断精度が非常に高い。

 ただ、まれに出血や腸に穴が開く(穿孔)などの事故が起きるリスクがあるため、住民検診で推奨されていないが、主として精密検査のために行われる検査法だ。注腸エックス線検査でがんが疑われた場合にも用いられる。注腸エックス線検査は、肛門からチューブを挿入してバリウム(造影剤)と空気を注入し、大腸の全部位のエックス線写真を撮影し、がんやポリープの病変がないかを確認する検査だ。

横行結腸がんが急に進行し、腸閉塞から誤嚥性肺炎に陥った可能性も捨てきれない

 このような根拠から、坂口の死因を推察すればどうなるだろうか?

 まず、先述のように、坂口は「腸閉塞・肺炎・インフルエンザに罹患し、点滴治療を受けた」「体重も10kg減量した」と報道されている。

 つまり、少なくとも腸閉塞によって嘔吐や血便を起こしたため、「便潜血検査」を受けた結果、陽性だったかもしれない。陽性ならば「全大腸内視鏡検査」を受けた可能性はある。手術による大腸患部の摘出の報道もあるが、確証はない。

 ただ、腸閉塞による吐き気によって、吐瀉物が気道から肺に混入すれば、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こしやすくなる。さらには、がんによる免疫力の減衰のため、インフルエンザなどの感染症に罹りやすくなる。長年の喫煙癖や飲酒癖も追い打ちをかける。

 速断はできないが、その後、これらの複合的な要因が重なり、がんがリンパ節や肺などに急速に転移したことから病態が悪化したため、急死した恐れも否定できない(参考:国立がん研究センターがん情報サービス)。

17歳の衝撃デビュー!善き母、良き妻、佳き女優を強かに生き抜いた女の57年

 坂口良子。1955(昭和30)年10月23日、北海道余市郡余市町生まれ。長男は、慶應義塾大学病院の勤務医・坂口直彦。長女は芸能人の坂口杏里。

 余市町立東中学校から小樽の双葉高校に進学。上京し、芸能人やスポーツ選手が通う堀越高等学校に進む。幸運の女神は、輝くばかりの美顔を見逃さない。
 
 17歳、ミス・セブンティーンコンテストに優勝、芸能界入り。フラッシュが眩しい。その余勢に押し切られ流ように、フジテレビのテレビドラマ『アイちゃんが行く!』で主演デビュー。息つく間もない多忙な毎日。18歳、月曜スター劇場『たんぽぽ』に大抜擢。20歳、『前略おふくろ様』、『徳川三国志』でも、若やいだ好演で応える。21歳になるや否や、映画『犬神家の一族』『獄門島』 『人間の証明』『女王蜂』などのサスペンスでも大飛躍。映画界の彗星と騒がれる。

 24歳、NHK大河ドラマ『草燃える』を熱演。以来、愛くるしい容貌と親しみやすいキャラクターが羨望の的に。アイドル女優の魅力を惜しみなく開花させる。25歳、『池中玄太80キロ』や『87分署シリーズ・裸の街』で人気を不動に。以来、2時間ドラマの主演やキャリアウーマン、刑事、弁護士、臨床心理士、外科医、監察医などの難役を次々とこなし、芸域を広げる。ヌード写真集も出版。31歳、舞台『サウンド・オブ・ミュージック』を主演、新たな境地にチャレンジも。

 しかし、好事魔多し。不動産会社役員と結婚、1男1女をもうけるが、離婚。バブル崩壊により夫の会社が破綻。連帯保証人になったため、多額の負債を被る。だが、自己破産もせず、数十億円に嵩んだ借金を10数年後に完済する。

 43歳、知人の紹介でプロゴルファー尾崎健夫と知り合い、事実婚の後、死去の1年前の8月に入籍。衝撃の熟年婚とスクープされる。53歳、芸能界入りした娘・杏里との共演が多くなり、『踊る!さんま御殿!!』『ダウンタウンDX』などのバラエティー番組に母娘出演。杏里の名を世間に広める。57歳、『ダウンタウンDXDX 2013新春スペシャル』(2012年12月6日収録)が最後のテレビ出演に。ドラマ『渡る世間は鬼ばかり (2012年9月17日・24日)の長谷部里子役が遺作となる。

 死後4年。4年の歳月が疾風のように去る――。幼い男児と女児を抱きすくめ、目を細める母の写真が1葉ある。気負いのないしなやかさ。底抜けの明るさ。陽だまりに遊ぶうぶ毛のほっこりした暖かさ。善き母、良き妻、佳き女優を強かに生き抜いた女は、いま何を想うのだろう。

 北国の故郷・余市の訛りを懐かしんでいるのか? 息子・直彦の成長を願いつつ、娘・杏里の行方を案じているのか? それとも、歩みきた女優の道筋をしみしみと追憶しているのか? 坂口良子。その可憐な微笑のラストショットは、永遠に止まったままだ。
(文=佐藤博)


佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

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