●ほかにもある股関節周りの簡単ストレッチ
C)ウォーミングアップ・ストレッチ
①背筋をピンと伸ばして、真っすぐに立つ。腰の幅くらいに足を開き、お尻に両手を添える。
②お尻を前にゆっくりと押し出すような感じで10回繰り返す。
③両手を腰に置き、お尻で円を描くような感じで、腰をゆっくりと回す。時計回りに5回、反時計回りに5回繰り返す。
D)股開き前屈ストレッチ
①背筋を伸ばして両足の裏を合わせて座る。かかとを軽く股間に引き寄せながら両膝を床に近づける。10秒間静止する。
②両手で両足の甲を押さえて両足の裏が離れないようにしながら上半身をゆっくりと前に倒す。首と背筋をまっすぐ伸ばすのがポイント。無理ないところで10秒間止める(慣れれば20秒)
E)開脚前後ストレッチ
①両足を開き、右膝を立て両手を右太ももの上に置く。左足の膝を床に着けながら、足のつま先を立てる。10秒間静止する。
②次いで左膝を立て、同様に10秒間静止する。
F)腰ひねりストレッチ
①背筋を伸ばしながら、右足に左足をクロスして座る。右腕を膝の上に置き、体を左側に少しひねり、左手を床に軽く置く。10秒~20秒間静止する。
②背筋を伸ばしながら、左足に右足をクロスして座り、①と同様に行なう。
*いずれも股関節や下半身に痛みを感じたら中止すること。プロトレーナーの指導やアドバイスで進めるのがベスト。もし異常を感じた場合は、すぐ形成外科医へ。
どれも呼吸法と組み合わせれば、さらに効果が期待できる。「鼻から吸って口から吐く自然呼吸を続け、リラックスした気分で、2~3回繰り返す。筋肉の張りや硬さを意識しながら、気持よく伸ばせるところまでゆっくりと引き伸ばし、痛くなったら止めること」
関西医科大学附属病院枚方病院健康科学センター長で、日本体育協会公認スポーツドクターの木村穣教授は、股関節ストレッチの効用について、こうコメントしている。
「股関節は、腸腰筋、大殿筋、中殿筋などの多数の筋肉や紐帯の複雑な動きによって支えられ、全身運動や筋肉バランスを絶妙にコントロールしています。しかも、股関節とそけい部の周辺には、動脈や静脈、リンパ管が密集しているので、股関節周りの筋肉が固くなることでこれらが圧迫されることも起こります。その結果、腰痛をはじめ、ぎっくり腰、肩こり、首痛、足首の痛みのほか、太ももの裏の張り、足の冷え・むくみ・しびれ、全身の疲労感、肥満、老化などの原因になるのです」
「股関節の周囲の筋肉を動かすストレッチは、血行改善や、筋力のアンバランスの解消につながる。血管をよく伸縮すればするほど基礎代謝が高まるので、長い目で見れば、動脈硬化や心筋梗塞、生活習慣病、メタボや肥満の予防、アンチエイジング(抗加齢)やダイエットの効果も期待できます」
多忙で運動する時間を取りにくいオトナ世代こそ、股関節を柔らかくして代謝を高めよう。
(文=編集部)
小林素明(こばやし・もとあき)
パーソナルトレーナー、健康運動指導士。フィットネストレーナーとして年間4000人以上を個人指導。2003年、全国フィットネスサミット優秀報告賞受賞。2010年、大阪市阿倍野区に「パーソナルトレーニング どこでもフィット」を開業。テレビ出演のほか、YouTubeにストレッチ動画を多数アップロード。著書に『スリムになれる!7つのダイエット成功の法則』。