合成甘味料に関する記事まとめ

 化学合成によって作られた甘味料。日本では、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン類、ネオテームの5つが認可されている。最近はやりの「ノンカロリー」や「カロリーオフ」と称した食品に多用される。アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースは、業界で「御三家」と呼ばれるほど使用頻度が高い。

●アスパルテーム
 アスパラギン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸を合成して製造。合成方法は、遺伝子組み換え技術によるもの。フェニルケトン尿症の人はフェニルアラニンの摂取量を制限する必要があるので、表示に「フェニルアラニン化合物」と併記するように定められている。砂糖の約200倍の甘さを持ち、カロリーはほとんどない。使用基準はなく、どんな食品にも使用可能だ。そのため、ダイエット食品、お菓子、清涼飲料水などに使用されており、アセスルファムカリウムと併用している例が多い。ただし、安全性に関してはさまざまな論議があり、米国でも、安全性を疑問視する声も少なくない。

●スクラロース
 砂糖に塩素を反応させて製造する。そのため「砂糖から作られた甘味料」と謳われる。実際、独特の後味の残るアスパルテームに比べて後味が残りにくく、砂糖に一番近い甘味がある。甘さは砂糖の600倍。また、アスパルテームは長期安定性にかけ、賞味期限が限られているが、スクラロースはその心配もない。そのため、1999年に認可がおりたが、その売り上げの伸びはすさまじく、ここ10年で1万品以上使用されている。清涼飲料水を中心に、合わせ調味料、ドレッシングなどカロリーオフ、カロリーゼロ商品に多用され、生産量が追いつかずに価格が高騰したこともある。また、熱に強いことからカロリーオフの紅茶やコーヒーなどにも用いられている。アスパルテーム同様、アセスルファムカリウムと併用している例が多い。なお、各食品別に使用量の規制がある。またスクラロースはほとんどが自然分解されないので、環境への蓄積が心配になる。

●アセスルファムカリウム
 酢酸由来のジケテンを原料として製造されたもの。1967年にドイツで開発された。砂糖の200倍の甘味があり、甘味を速く感じ、後味のない甘味を持つが、特有の苦みを感じることがある。アスパルテーム、スクラロースなど他の甘味料との併用によって、砂糖に近い甘味を出すため、他の甘味料と併用されるケースが多い。ガムやアイスクリーム、清涼飲料水、乳酸菌飲料など幅広く用いられている。大手コーラ2社がカロリーオフ飲料に採用したのがきっかけで広がった。
 財務省の貿易統計では、輸入量は2011年には481トン、2012年には535トン、2013年には463トンと他の合成甘味料の輸入量に比べて圧倒的に多い(たとえばアスパルテームは2011年には110トン、スクラロースは2011年17トンなど)。製造元はドイツと中国で、ドイツからの輸入が多いが、最近、ドイツよりも低価格で輸入できる中国からの輸入も増えつつある。
 日本では、2000年に食品添加物として指定を受けており、使用食品ごとに使用基準が設定されている。

●ネオテーム
 2007年に新しく指定された合成甘味料。アスパルテームを原料にして熱、PHの安定性をさらに向上させたもの。甘味度が非常に高く、砂糖の1万倍。他の合成甘味料と比べると、甘味の発現が遅く、かすかに甘い後味が残る。甘味倍率が高く、添加量が少ないため、アスパルテームのように「フェニルアラニン化合物」の併記は必要ない。この甘味料も日本では、使用食品ごとに使用基準が設定されている。

●サッカリン、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム
 以前は合成甘味料といえば、サッカリンだったが、発がん性が疑われて一時使用が禁止された。その後、安全性が確認されたとして再び使用されるようになったが、イメージが悪くなり消費量ののびは御三家ほどにはみられない。なお、2012年12月にはサッカリンカルシウムが認可されている。
 甘味度は砂糖の500倍。サッカリンナトリウムは水に溶けにくいサッカリンを水に溶けやすくしたもの。濃度が薄くなっても、甘味が長く残るのが特長。醤油や漬物、粉末清涼飲料水、缶詰などに使用されている。


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